届け、この想い (ページ1)

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届け、この想いページ1

就寝前。

「きょおもしゅんにぃ、おそいん？」

「あちたも、まらあえん？」

「だいちゃん、しゃみしぃ……」

「う～ん、あと2、3日は我慢かなぁ・・・」

「駿兄の撮影もうちょいやって言ってたし、あとちょっと辛抱してな」

次男謙杜と三男流星の言葉を聞くなり2歳で3つ子の丈一郎と大吾と和也は明らかにシュンとしてしまった。

「大丈夫やって、ホラおるやん」

「「ちゃうの！」」

言って四男恭平がTV画面に映る駿佑を指差すが
実物に会いたいのだと、3人は揃って違う！と怒って首を横に振る。

むうー…と唸って頬を膨らませては、ペタンと座っていじけてしまった。

「こればっかりはなぁ・・・」

「わぁーった！じょおくん、ねんとまってる！」

「ん？！？」

すると突如、丈一郎が分かった！とひらめいた顔をして立ち上がり、鼻息荒くそんな決意表明をしてきた。

「だいちゃんも！」

「かじゅくんもいい？」

もちろん2人も乗り気で後に続く。

ここのところ長男駿佑は、朝は早く出て行き
帰りは遅いのがルーティーンで、もう末っ子達とは何日もすれ違いの生活。

いい加減、恋しくなってしまったのだろう。
でも・・・

「アホなこと言わんの〜、絵本読んだげるから寝る準備しよ」

「ほら、お布団の方おいで」

「絵本どれするか今日は誰が選ぶ？」

可愛い弟からのお願いは、聞けるモノなら聞いてやりたいが
最近の駿佑が帰ってくる時間は、だいたい夜中の1時過ぎ。

まだ小さな3人がそんな時間まで起きていられないだろうと軽く受け流して、いつも通り寝かしつけようとするも
決意は固いらしく、また首をフルフルと横に振られる。

「まちゅん・・・いいでって、いって？」

「おねがい、にぃに」

「おねが〜い」

3人は小さな手できゅっと裾を掴んでは、こてんと、小首を傾げて上目遣い攻撃を仕掛けてくる。

この眼差しに兄達はとても弱かった。

「～～～！はぁ、…ったく！」

「今日だけやで？」

「「にぃに、だいしゅき♪」」

パァと表情を輝かせ、それぞれに抱きついたかと思えば3人は勢いよく玄関の方へと走っていく。

「あっ！コラ！そっちは流石に冷えるから戻ってきぃ」

「起きて待っててもいいとは言ったけど、好きにはさせんで」

「ほら、コッチおいで」

叱る口調で言えば素直に戻ってきたが意地でも寝ない気か、布団にだけは頑なに入ろうとはせず
とりあえずソファに落ち着いた。