十九匹 ページ23
NO side
探偵社の入った建築物の一階のうずまき
そこでは夜遅くに探偵社員たちの打ち合わせが行われていた
『探偵社設立の話ねぇ…』
そう云いながら新見は珈琲を啜る
うげぇ…やっぱりほうじ茶にしとけばよかったなぁ
そんなことを呟きながらうなだれる彼女も探偵社の社員である
話題は探偵社が何故出来たか
正直、打ち合わせとは思えないものである
打ち合わせのメンバーは先程の新見と国木田と谷崎であった
新見は真顔で見つめあっているように見える男二人組を呆れ顔で見ながら団子に手を伸ばした
テーブルの上には団子が三人分とほうじ茶二つに珈琲
「探偵社で働いてるのに、そういえば知らないんですよね。探偵社設立の理由。国木田さんはご存知ですか?」
退屈そうな新見を横目に谷崎は話を進めた
「無論、知っている。…が、俺よりもAさんの方が知ってると思うが」
少し不思議そうにしながら国木田は頷く
「流石です。ボクも最初はAさんに聞こうとしたんですけど…断られて」
谷崎は笑顔になったが、話していくうちに苦笑いに変わった
『……少ししか知らないよ。本人のが早い』
谷崎の発言に対して新見は少しだるそうに答えた
それ程長いのか、本当はただ単に話したくないのか
それは本人しかわからない
「まぁ、うっすらとだがな」
「うっすらと?」
会話を始めた二人を見て、彼女はテーブルに伏せた
「ああ。又聞きだが_探偵社が設立されたのは十数年前。社長が設立した。その頃あったある出逢いが、会社設立の契機だったと聞いたことがある」
気にせず会話を続ける二人はきっと彼女の扱いを分かっているのだろう
彼女自身も特に気にせず狐を撫でた
谷崎は、成る程、と云って頷いた
「本当に……うっすらとですね」
「だからそう云ったろう。俺もこれ以上詳しいところは知らん。改めて訊く機会もないからな。Aさんに話してもらうか社長に訊いてみたらどうだ?」
と、呆れ顔で云った
『あー…過去ね』
新美はそうぼやきつつ目を伏せた
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強いうさぎLv3 - 新美南吉…!!地元…!!(嬉しい) (2019年6月14日 20時) (レス) id: 1eba992f2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百合 | 作成日時:2018年8月5日 19時