オモチャ。【市橋哲人】

オモチャ。39 ページ40

俺達は犯人じゃない。


ただその一言で、俺達の目から涙が溢れた。


やっと、やっとだ。


俺達の無実を、確信できた。


そりゃ涙も出るわな。


「俺ら…無実だったんだよな…？」


「…うん。」


「俺ら、人殺しなんかじゃないんだよな？」


「うん…！！」


なんて嬉しそうな泣き顔。


嬉しいに決まってる。ようやく、警察に怯える日々に解放されるんだから。



「ちょ、とりあえず今宵とコンビニ行ってくるわ…」

涙をTシャツの裾で拭きながら、玄関で待つ今宵ちゃんの方に歩いて行く伊佐美。

え、コンビニってその顔でか？


「じゃ、いってくるわ…」


「トビオさんっ、留守番お願いしますね！」



それだけ言って、二人は扉の向こうに消えた。


…が、何故か今宵ちゃんだけ帰って来た。


忘れ物かと思ったけど、俺の前に立っているのでそうではないらしい。

俺の顔を見て、にこーっと笑い耳元で



「そこの戸棚の2段目の引き出しに、入ってますから。」


と言った。



は…？どゆこと？


理解できずにいる俺にまた笑って、外に出ていった。


戸棚の2段目…？入ってるって、何がだ。


警戒しつつ、戸棚に近づく。

2段目の引き出し…これか。


恐る恐る、引き開けようとすると


『何やってんのトビオ？』

真後ろからAの声が聞こえて、咄嗟に引き出しを閉める。


「ちょ、おま、おどかすなよ…」


『勝手に驚いてんのはあんたでしょー。

あれ、伊佐美と今宵ちゃんは？』


「あー、コンビニ。」


『えー！？じゃあ付いていけば良かったー。唐揚げ棒食べたかったのに。』


「お前そんなん言ってるから太るんだぞ……って、な、なそのカッコ…！」


『ん？』



Aの今の格好。それは、タオル1枚を体にくるんだだけ。


「ちゃんと服着てから出てこいよ！」

『だって私、替えの下着の場所なんて知らないんだもの！』

だからってその格好で出てくるなって…!


『てか、何で戸棚がさがさしてたの？』


「え、あ、ああ。今宵ちゃんに戸棚の２段目の引き出しに何かあるって言われてさ。気になって」


『ふーん。えっちぃビデオ探してたわけじゃないんだ？』


「お前な…」


『んで、引き出しの中には何入ってたの？』


「…今から見るとこ。」


『お、私も見たい見たい。』


「お前は服着てから。」


『…へいへい。』


適当に取り出した服を手に洗面所へと歩いて行くAを見送り、いざ開封。







え、これって…

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