オモチャ。32 ページ33
Aside
学校も終え、市橋の病院でいつものように買ってきた果物を剥く。
今日のご飯何にしようかなぁ。
あたし的にはさっぱり系がいいんだけど…
トビオは何食べたいんだろ。
誰かのご飯作ってあげるのって、なんだか楽しいし、何より家族が出来たみたいで嬉しいな。
よし、あとでLINEしてみるか。
剥き終えた果物を皿に盛り付ける。
今日の果物は桃。
いつも林檎だと飽きるだろうからと、私なりの配慮である。
私、超優しくない？
『ほい、どうぞ。』
食べやすいように爪楊枝をさしてテーブルの上に乗せてやると、すぐに手を伸ばして口に運ぶ市橋。
『おいしい？』
「まぁまぁ。」
素直に美味しいって言えないもんかねぇ、この頭領様は。
「お前、何かあったわけ。」
ふいに質問されて、戸惑う。
『は、何で？』
「さっき鼻歌歌ってた。」
『え！？い、いつ？』
「これ剥いてる時。」
桃を指差す市橋。
桃剥いてる時、あたし何考えてたっけ。
あ、そうだ。今晩のご飯だ。
自分以外にご飯作るのが嬉しいなーとか何とかって考えてたんだ。
でも鼻歌歌ってなんて全く気付かなかったんですけど…。
無意識ってこわいね。
「何か良いことでもあったのか。」
『うーん…一応は、あったかな。』
照れ隠しのつもりで桃を一口かじる。
半年以上１人だったんだもの、トビオが家に来てくれて嬉しいに決まってる。
口角が上がるのを気にもせず桃をもう一口かじると
「あ、そ。
…そういえば、手掛かり見つかったか？」
ﾄﾞｸﾝと心臓が脈打つ。
そうだ、こいつトビオのこと追ってるんだった。
『…いや？何も。』
居場所を知ってるなんて言ったら、こいつは何をしでかすかわからない。
ましてや私の家になんて。
口が避けても言えるわけない。
隠さなきゃ、隠しとおさなきゃ。
…あれ？でも待って。
私の今の行動って、市橋を裏切ってることになる…？
「……今日はもう帰れ。もう、寝る。」
『あ、うん。』
鞄の持ち手を握り締めながら出口に向かう。
「A。」
『…ん？』
「明日も、来いよ。」
少しだけ顔を赤らめながら言われる。
言われなくてもちゃんと来るわよ。
微笑が溢れる。
『また明日。』
それだけ言って病室を出た。
私の今していることは、市橋もトビオも裏切ってる。
味方のフリして、互いに協力してる。
本当に最低なのは二人じゃない。
………私だ。
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- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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ななみ - 主人公と、トビオのpinkなシーンがほしいです。 (2017年9月24日 22時) (
レス) id: c36a27a292 (このIDを非表示/違反報告)
螢＊(プロフ) - あ…笑深夜テンションでボケボケでした。ご指摘ありがとうございます。 (2017年8月17日 9時) (レス) id: 65826167d5 (このIDを非表示/違反報告)
もなこ(プロフ) - 27.28がないんですけど…… (2017年8月17日 1時) (レス) id: 054e8b5694 (このIDを非表示/違反報告)
綾臣 - 更新まだですか？ (2017年8月12日 17時) (レス) id: ccbde97d96 (このIDを非表示/違反報告)
螢＊(プロフ) - 夜大好き！さん» 本当にカッコいいですよね！１話１話重ねるごとにイケメンさが増してて…(*´｀*)はい！更新頑張ります！！ (2017年8月9日 23時) (レス) id: 65826167d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：螢。 x他1人 | 作成日時：2017年7月26日 2時
