任務遂行 ページ10
▽
幹部「着いたぞ。準備しろ」
『はい、分かりました』
馬車から降りる前に少し乱れた制服をきちんと正して、扉が開かれるのを待つ。
それにしても、大きなお城だなぁ。
迷わずに目的地へと行けるだろうか？
道に迷ってしまったら殺される覚悟で行かなければ…。
深呼吸をして精神統一をしていると、ガチャッと音を立てて扉が開かれた。
幹部「ここはもう他国の領地だ。いつ、どこから狙われていたっておかしくはないんだからな。気を引き締めていけ」
『はい。幹部様』
そっと耳打ちされた忠告を頭に入れ、門を潜る。
幹部様方は今から談話室に案内されるらしい。
私たちは今のうちにバレないようここから抜け出し、総統様に言い渡された任務を遂行する。
総統様に任された私たちの任務はこうだ。
1.幹部様方が部屋に案内されている隙にそこから抜け出し、入れそうなダクトを探す。
2.ダクトを通って秘密書庫に行く。
3.その国の極秘情報を抜き取ってくる。
4.問題を起こして場を混乱させ、幹部様方が逃げられる時間を稼ぐ。
5.私たちは馬車を使わずに走って城まで戻ってくる。
…って、ご丁寧に紙に書いて渡してくださった。
確認のために読み返してから、くしゃっとポケットへ雑に突っ込む。
横にいる涼太に目で合図を送る。
涼太「……ｺｸ」
涼太が小さく頷き、私たちの命懸けの任務が開始された。
＿＿＿＿＿
門兵さんと幹部様方が前を向いて歩いている隙に、丁度良い廊下に身を隠す。
涼太がバレない程度に顔を覗かせながら幹部様たちの行方を確認した。
涼太「……A姉さん、行ったよ」
『了解』
安全確保のため、周りにも誰もいないか確認する。
『周りにも誰もいなさそう』
涼太「了解」
ここは、秘密書庫からどれくらい離れたところなんだろう。
私たちがいなくなっている時点で怪しまれて警戒されるのは想定の範囲内。
だから普段の任務以上に慎重に行かなければいけないが、そんなにもたもたしている程時間に余裕はない。
さっさと任務を終わらせて早く城に帰らないと。
近くの天井に丁度入れそうなダクトを見つけ、壁を伝って中に入り込む。
定期的に掃除でもしているのだろうか。
思ったよりほこりっぽさはなく、案外簡単に終わらせられそうだ。
後ろを向き涼太も登ってきたことを確認し、前に進んだ。
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作者名：夜月 | 作成日時：2024年3月10日 20時
