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Aside
狐の姿でのんびりと過ごしているとあっという間に時間は過ぎていった。
幹部様方に怒られないように外交用の服を丁寧に直してから正門に向かう。
もちろん、狐のお面を忘れずにつけてから。
＿＿＿＿＿
正門前に着いてから約五分後。
外交担当の幹部様と交渉係の幹部様が来られた。
『こんにちは。幹部様』
外交「ああ。今回は馬車を手配したからそれに乗って向かうぞ」
『わ、私たちが乗ってもよろしいんですか…？』
交渉「今から行く場所は少し遠いからな。歩いて行っていたら日が暮れてしまうだろ」
『あ、ありがとうございます…！』
外交「分かったのならさっさと乗れ」
そう言われ、私たちは少し強引に馬車の中に押し込まれた。
馬車の豪華な内装に驚愕しながらも、今まで座ったことのない高級そうな椅子にそっと腰掛ける。
背もたれまでふかふかで布の触り心地も良く、ずっと堪能していたいくらいだ。
普段は大人しい涼太も少しテンションが上がっているようにみえる。
そんな椅子に座りながら私は一人で妄想をしていた。
他の国に行くなんて、ましてや城の門より外に出られるなんて、夢にも思っていなかったから。
今から行く国はどんな所なんだろう？
とても楽しみだなぁ。
観光とかしてみたいけれど、そんな目的で私たちは派遣された訳じゃないから、ちゃんと任務を遂行しないと。
暫くしてから、馬車はゆっくりと動き始めた。
外からは幹部様方の話し声と、馬の爪がアスファルトに当たる音が小刻みに聞こえてくる。
窓から見える景色も段々と早くなっていった。
ガヤガヤとした城下町を抜け、国と国を区切っている大きな森の中に入っていく。
この森を通り過ぎ、少し馬を走らせたら今日の目的地に到着するらしい。
遊びに行くわけではないのに、私は何故かわくわくしていた。
それは涼太も一緒で、さっきからずっと楽しそうに窓の外を眺めている。
森を抜けると、わいわいと賑わっている街にでた。
今までの景色に鮮やかな色が加えられたような、そんな感覚になった。
友達と走りまわってる子も、買い物をしている人も、商売をしている人だって、みんな笑顔で楽しそうだ。
私たちの国も賑わってはいたが、こことは何かが違う。
そこから少し上へとあがり、大きな門の前で馬車が止まった。
幹部「着いたぞ。準備しろ」
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作者名：夜月 | 作成日時：2024年3月10日 20時
