・ ページ6
▽
幹部「今日の予定の事で伝えたいことがあるから、至急談話室に来てくれ」
『承知いたしました』
幹部様が去ってから扉を静かに閉める。
私たちにまで伝えないといけない予定って何だろうか？
いつもは幹部様たちだけで解決して私たちには情報さえ伝えてくれないのに。
涼太「さっきの、○○さん？」
心の中で文句を言っていると、準備が終わった涼太が確認するように尋ねてきた。
『うん。今日の予定で伝えたいことがあるから談話室に来て、だって』
涼太「今日って何か特別な日とかだっけ？」
『いや、特にそういうのは聞いてないけど…』
涼太「まあ、何でもいいか」
『そうだね、早く行こっか』
涼太「ん、」
私も涼太も慣れた手つきで狐のお面をつけて部屋を出た。
＿＿＿＿＿
幹部様に言われた通り、談話室にやってきた私たち。
今更、幹部様方相手に緊張するとかはないが談話室の大きな扉をノックするのには少し勇気がいった。
今、私の右手はグーにされており、そして、扉から数センチ程離されたところで彷徨っている。
涼太「A姉さん？」
そんな私を見かねたのか、涼太が心配そうにこちらの顔を覗いてきた。
涼太「僕が代わりにやろうか？」
『っ…ごめん、お願い』
涼太「分かった」
情けない。
私は涼太のお姉ちゃんなのに。
どうしてこうも上手くいかないんだろうか…。
たかが大きな扉だ。
何も怖がることなんてないはずなのに…。
段々とネガティブな気持ちになっていく私を呼び覚ますかのように隣でコンコンと扉がノックされた。
涼太「Aと涼太です。○○様に呼ばれて来ました」
幹部「入れ」
涼太「失礼します」
『…失礼します』
大きくて重たい扉をギィィっと音を立てながら開く。
中には数人の幹部様方が縦長の机を囲むように座っていて、一番奥には総統様もいた。
幹部「その空いている席に座れ」
『は、はい』
涼太「…」
部屋に入ってすぐの席に私たちは腰をかけた。
幹部様がいつ話してもいいよう、背筋を伸ばし手は膝に置き、どんな声でも聞き逃さないよう耳を澄ませていた。
…のだが。
幹部様方には一向に喋る気配がない。
他の仕事もあるし、なるべく早くしてほしいんだけど。
痺れを切らした私はおずおずと幹部様に尋ねた。
『あ、あの…えっと、今日のご予定の話って…？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜月 | 作成日時：2024年3月10日 20時
