・ ページ13
Aside
ダクトから城の外へ無事に脱出し、追いつかれる前に走り出した。
『はぁ…、はあ、は…っ』
涼太「はあ…はあ…っは…っ」
『げほっ、けほ…っ』
涼太「A、姉さん…っはあ、だいじょうぶ、？」
『だい、じょうぶ…っ、はぁ…っ』
息が苦しい、でも、足を止めたら殺される。
そう自分に言い聞かせながら森の中をかいくぐり自分たちの城を目指して走り続ける。
足の踏み場が悪い森や滑りやすい屋根の上を飛び越えながら駆け抜けていく。
馬車で数十分もかかる距離を私たちは今、たった数分で帰ろうとしているのだ。
もう少しで城に着く。
『うわっ！？』
涼太「Aっ？！」
心に油断が生じたのか、足がもつれ顔から盛大に転けてしまった。
地面が土でよかったとつくづく思う。
もしコンクリートのところでこんな転け方をしていたら、私は今頃顔面がなくなっていたかもしれない。
涼太「A姉さん！大丈夫？起き上がれる？鼻血出たりしてない！？」
『大袈裟すぎ。大丈夫だって！ほら、この通り』
急いで駆けつけて来てくれた涼太が大袈裟すぎるくらい心配して声をかけてくれる。
自分は大丈夫な事を証明するためにさっと起き上がって腰に手を当てた。
不幸中の幸いなのか、付けていた狐のお面と服が土まみれになって頬にかすり傷ができただけの軽傷で済んだ。
涼太「急に視界からいなくなるんだからびっくりしたよ」
『ごめんごめん。もうお城目の前だから急ごう？』
涼太「そうだね。帰ったらすぐ手当する」
『うん、ありがとう』
＿＿＿＿＿
総統「はっはっはっ！よくやったなお前たち！」
『ありがとうございます』
総統「いやあ流石だよ。これからも、期待しているからな」
『…はい、総統様』
忘れないうちに、と思い抜き取ってきた極秘情報を泥だらけのまま総統室まで持っていった。
すぐに帰してくれると思ったらつらつらと思ってもいない褒め言葉で長話に付き合わされた。
正直少しも心に刺さらない。
泥が乾いてきて服にへばりついているから早く脱いでシャワーを浴びたいんだけれど…。
髪もボサボサでカピカピになっているし。
それに、そろそろ文句を言われそうな予感がする。
総統「それにしても、なんだその汚い見た目は。元々小汚い奴らなのに更に汚くなったな！この国にいる限りはな〜」
ほらね？思った通りだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜月 | 作成日時：2024年3月10日 20時
