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数分後、ようやく目的地までたどり着いた。
耳を澄ませ部屋の中に誰もいないことを確認し、そっとダクトから降りる。
『涼太』
涼太「はーい」
私が呼んだ後、音を立てずにダクトから降りてくる涼太。
涼太「うわぁ…ここに極秘情報が置いてるの？」
『うん、そうらしいけど…これはかなり時間がかかりそうだね』
この部屋には、私たちより何倍も高い本棚が見渡す限り奥までずらりと並んでいるのだ。
こんな中からたった一つの紙切れを見つけ出すのは、簡単ではないはず。
こんな場所だと知っていればもう少し作戦を立てれたのに。
どうして何も教えてくれなかったんだよ、あのくそ総統野郎。
まあ、今悪態ついたって意味無いか。
涼太「じゃあ、僕あっち側から探してくるね。何かあったら叫んで僕のこと呼んで」
『うん、分かった。頼りにしてるよ』
涼太はふわりと微笑んでから真剣な表情に変わり、忍者のように素早い動きで音も立てずに反対側まで移動した。
向こう側は任せるとして、私もこっち側から探していきますか。
＿＿＿＿＿
思った以上に紙切れ一枚を探すのは大変で、珍しく苦戦してしまった。
真ん中の本棚の、一番上の段の、一番奥側にひっそりと挟んであった。
当然、私の身長じゃ届くはずもないので棚に足をかけ上まで登っていく。
さっ、と取り出し、飛び降りようと思ったその時だった。
私が居る反対側にあるはずのない人影が一瞬見えたのだ。
本棚の上と天井には幸い少し隙間があったので、見つからないようにそこへ身を滑り込ませ隠れる。
音を立てないように気配を消しながら上から覗いてみる。
緑色のパーカーを着た、いかにも強そうな雰囲気があるその人は周りをキョロキョロしながら歩いていた。
もしかして、私たちの存在がバレているのだろうか。
少し動揺してしまい一瞬目を離してしまったときだった。
瞬きをすると緑のパーカーの人は姿を消していた。
どこかに隠れたのか？
辺りを慎重に見回すがそれらしき人影が見当たらない。
くそ、見逃したか。
ひとまず、情報を抜き取れたことを涼太に伝えに行くために本棚の上からすとん、と降りた。
さっきの人を警戒しながらゆっくりと前へ進む。
涼太の姿を目視し、名前を呼ぼうと口を開いた瞬間。
後ろから手が伸びてきて私の口は塞がれてしまった。
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作者名：夜月 | 作成日時：2024年3月10日 20時
