【軍パロ】双子と我々だ国の幹部達 (ページ2)

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𓂃◌𓈒𓐍プロローグ - 1𓐍𓈒◌𓂃 ページ2

Noside

A＿優しく怖いもの知らずな彼女は、聴覚と運動神経に長けており、戦闘では彼女の右に出る者は今の所いないらしい。

おまけに顔立ちもそこそこ良く、"普通の生活"をしていたなら皆からモテていたに間違いないであろう。

少し長く茶色い髪も丁寧に整えられていてとても綺麗だ。

それに、見る限り身体に傷は一切ない。

だが、長袖一枚でも脱げば包帯だらけの身体。

包帯の下には痛々しい色をした切り傷やアザが残されている。

その包帯も長いこと変えられていないのだろう。

所々破れていたり、血の跡が滲んだりしている。

これも全て、彼女の誰にも言えない暗い過去が関係しているのだった。

生きているのか、死んでいるのか。

話さずじっとしていれば、どちらなのか分からないように彼女はいつも無表情だ。

しかし、それは大嫌いな幹部達の前でだけ。

共に生き抜いてきた双子の弟、涼太の前では表情が豊かでとても優しい、ありのままの自分を出している彼女。

喜んだり、怒ったり、泣いたり、笑ったり。

でも、そんな顔も残念なことに全て見ることは出来ない。

何故か？

それは、狐のお面で顔の上半分は隠されているから。

際立って美しい真紅で鮮やかに彩られた和風な狐のお面。

そのお面の両端にはチリンチリンと静かに鳴る小さな可愛らしい鈴が飾られている。

お面よりも下にある唇はカラカラに乾き所々ひび割れていて、そこまでは手入れが届いていなかったらしい。

つまり、目元だけが見えないようなお面をつけている。

それに加え、他人を惹きつけるような滑らかで大人っぽい立ち振舞い。

それだけは幹部達も一目置いているようだった。

それも、普段の時と戦闘の時とのギャップを利用するためのテクニック。

普段は大人しいから戦闘で派手にやることはない、と相手に大きな油断をさせ、その隙をつくという昔からの戦略らしい。

なかなかに巧妙なやり口だが、これを身につけたのは彼女が七歳の時。

そして今の彼女は十五歳。

八年もの年月をかけて磨き上げてきた戦略は、それはもうあっと息を飲み込むようなものだ。

戦闘中は相手に隙も油断も与えず、稲妻のような速さで戦場を駆け抜ける。

その後、彼女は一息付く間もなく次のターゲットの狙いを定め一気に詰めるのだ。

これが、彼女なりに考えた"勝つ"ための戦い方。