10 ページ19
A「……………」
トンネルの中は床には外から入ってきた木の枝や木の葉、どこからか漏れだしているであろう水で、壁には肝試しで来た人達の落書きでいっぱいだった。
奥からは嫌な予感が肌をひりつかせるほどに感じる。
A「いるんでしょ?ちょっとお話しない?」
暗いトンネルに声が反響する。
A「あなたを知りたいだけなの。なんにも悪い事はしない」
ピチョンピチョンと水が落ちる音がする。
A「ねえ、」
ジャボッ
バシャ
突然、膝下まで水に浸かっていた。
知らぬ間に呪霊の境界に入ったらしい。
A「川…?」
自分の足を流れる水がくすぐり、前へ進む事に抵抗しようと力が
かかる。
辺りは木々に囲まれていて夜のように暗い。
ふと、川上から桶が流れてくる。
自分の元へとゆっくり流れてきて、中を覗くと
A「!!」
中には赤ん坊が入っていた。
川から引き上げるが、次から次へと桶と赤ん坊の泣き声が流れてくる。
A「これって…」
『アァアアアア』
『アゥァ』
『ウアアア』
赤ん坊の泣き声が強くなると同時に、川の中から無数の手が現れた。
手はAの足を掴み、川の中へ引きずり込もうとする。
A「うわっ!こら!引っ張るな!」
桶を抱きしめながら川の中へと引き込もうとする手を払い除ける。
赤ん坊の泣き声は段々と言葉になって行く。
「冷たい」「寒い」「お腹空いた」「ご飯ちょうだい」「お母さん」「お父さん」「助けて」「ここだよ」「一緒に遊ぼう」「寂しい」「寂しい」「寂しい」
A「…そうか、お前たちが呪霊の正体なんだね…」
「アゥ」
スルッ
右手の手袋を外し、赤ん坊へと人差し指を差し伸べる。
赤ん坊はその指を小さな手で握る。
A「ごめんね」
329人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
縁儺 - 私が主人公だったら上層部消す(ドヤァ)んで上層部なって皆に適切な仕事を送ったりする (2022年5月27日 19時) (レス) @page21 id: a1a94a6f52 (このIDを非表示/違反報告)
みと - 更新待ってますね!とてもお気に入りです! (2022年1月25日 0時) (レス) @page16 id: 88b31f4df5 (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿です - 凄い面白いです‼︎でも子供の頃から友達だった呪霊を消すのはきついですね💧 (2022年1月22日 8時) (レス) @page16 id: 28f067a82d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:せむせむ | 作成日時:2021年7月14日 23時