【どうしてこうなった】降谷さんの勘違い4【名探偵コナン】 (ページ6)

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Story143 ページ6

You side

さて、ここまで調べが着いて、いくら殺意を抱いている相手とは言え、それは実の父親であるのだ。そのその置かれた立場まで知ったのなら、いくらかは納得して見過ごすことを選ぶかもしれない。

当人が正気だったのなら。

Aの気はとうに正常ではなかった。

物心つかぬ間に母を亡くし、容姿の違いで周囲に馴染めず孤立し、虐げられ、家に帰ろうと迎えてくれる者はもうこの世にはいない。

それは降谷零とて幼少期に体験したものであったが、二人の間に存在する致命的な相違点がその運命を分けた。

“親友”という絶対的な味方の有無だ。

降谷零にはそれがいた。降谷Aにはいなかった。

一見して些細なきっかけが事の顛末を大きく変えてみせた。

彼がどんな悪行を行おうと、それを止めてくれる者は彼の傍にはおらず、叱ってくれるはずの者は自分をさし置いてほかのところにいる。

そんな侘しい環境と生い立ちが、彼の心を後押しした。

一片の光さえ差さぬ方向へと。

さて、ここまででも充分に最悪すぎるシナリオだが、安心してくれ！もちろんこれにはまだ続きがある！(白目)

かつて私が自室で発見した古臭い日記の間に挟まっていた USB の事は覚えているだろうか。

あの時私が首をかしげて乱雑に扱ってしまったあの USB 。
あれこそ、降谷さんのすべての情報が詰まったパンドラの箱なのだ。

かつて彼はそれを組織へ譲渡することで降谷零の殺害を試みた。

だがこれだけ恨みを抱えた憎い相手を自分のいない所でみすみすと殺されてしまっては面白くない。
だったら自分もその場に立ち会ってしまおう！

裏の業界で命運を握るものはどこだって同じ、情報だ。そこで彼は匿名かつ中立的で有能な情報屋を演じることにした。

どんな依頼も拒まず、正確さはもちろんお釣りさえ来てしまうような優秀な情報屋を、情報が命に直結する裏社会で、組織が中立のままにしておく筈がないと踏んだのだ。

だが思い出して欲しい。降谷Aは例えるなら機関銃を作れる超天才パンジーなのだ。そんじょそこらの糞製造機にも等しいような能無しパンジーとは訳が違う。

そんなAが普通にセキュリティを構築してしまっては、いつまで経っても組織が素性をつかめない。

そこでAは敢えて何ランクかセキュリティを下げ、なんなら組織の方へ自分から情報を漏らすまでしてようやく、あの日あの時、待ちに待った勧誘が、ジンニキから直接なされたのであーる！