Story141 ページ4
You side
そんなこんなであっという間に完食してしまい、お皿を片付けに行ってくれた赤井ママだったが、少しすると再び部屋に戻ってきた。
ことも落ち着いたころというわけで、昨日あった話を詳しく聞きたいのだろう。特に断る理由もないため聞かれるままに答えていると、ふとこんな質問をされた。
「そういえば、昨晩はひどく魔されていたようだが、平気か?」
「え?」
たったその一言。
刹那、
無意識のうちに忘却の彼方へ追いやっていた筈の夢が、理解を拒んだその内容が、ちょうど深い霧が突風によって晴れるように、突如として鮮明にフラッシュバックする。
本能的な悪寒が背筋を走った。
白濁とした意識が取り戻されていく。
それは、恐らく記憶を取り戻す前の“降谷A”の半生の追体験だった。
そのとき彼が感じたもの、考えたもの、記憶したものが、すべて痛いくらいに伝わって──…
最後のあの瞬間、夢の中で、彼は、
──降谷零の、殺害を、決意した。
「うっ・・・おえ"ッ」
「坊や!」
その殺意は、鋭くて確実で、そして、
切実なほどに、悲惨だった。
まるで誰かに頭の中身を掻き回されているような酷い頭痛に、
腹の中から押し上げてくるような吐き気を覚えた。
こんなもの、思い出さなければよかったものを。
大きな手で背中を摩られるのを感じながら、どこか他人事のようにそう思った。
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yuni - 面白いです!続き気になります! (4月20日 13時) (レス) id: 17290499f6 (このIDを非表示/違反報告)
m.**(プロフ) - とっても面白くて続きが気になります!!! (2月24日 22時) (レス) id: 0b03a1f04e (このIDを非表示/違反報告)
yuka.125(プロフ) - すごい面白いです!続き気になります! (2月5日 20時) (レス) @page8 id: 6cd4b73c69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:食物連鎖の頂点に立ったササミ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/1e4d26931d1/
作成日時:2024年2月3日 21時