【どうしてこうなった】降谷さんの勘違い4【名探偵コナン】 (ページ2)

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Story139 ページ2

You side

「...っ！｣

まるで身体中で虫が這いずり回るかの如く酷い嫌悪感に、飛ぶようにして起き上がった。何か、とてつもなく嫌なものを見ていた気がする。思い出そうとするが、うまく思考が纏まらない。視界が乱れ、手足は嫌に冷えているせいか少し感覚が鈍い。まるで誰かに「考えるな」とでも言われてる気分だ。

起きているのに、夢を見ている。そんな感覚。

今この瞬間に起こった事を理解できないまま、どうにか乱れた息を整えつつ、周りを見渡す。

どうやらここは自分の部屋ではない様だ。

特筆すべき特徴もなく、落ち着いたトーンで整えられたシンプルな内装だ。

この部屋の中央に置かれた広いベッドに、私は横になっていた。

「ここは…いっ、つ、」

全身に纏わりつく嫌な冷や汗に漠然とした焦燥感を抱えながらも、情報を整理するため、ひとまず降りようと体を動かした刹那、

身体中に鈍い痛みが奔った。

視線を落とすと、手や足のあちこちに新しいガーゼや包帯が巻かれている。未だジクジクと痛むものの、丁寧な処置をされたあとが見てとれた。

「そうか、きのう赤井さんに･･･」

未だ働かない脳を無理やり起こして、昨日の数々の出来事を記憶から掘り起こしつつ、改めてあたりを見渡す。

体に纏わり付く妙な抑圧感をどうにか吹き払おうと、普段通りの思考を意識して虚勢を張る。

…この質素に見えて実は洗練されたデザインの部屋は…さては赤井さんの部屋だな？

突撃おうち訪問からのお泊りコースなんて役得か〜？身体中に怪我した甲斐があったーー！！

ふっ、すまねえ全国の赤井の女たち…。私は一足先に赤井さんとのワンナイトを過ごしま …あっ、ちょ、ごめ、石投げないで！

「坊や、起きているか？｣

ふとドア越しに赤井さんの声が聞こえる。少しだけ空気が緩んだ気がして、虚しい心理茶番劇を慌てて終わらせ返事を返すと、なにやらおいしそう香りを漂わせるトレイを片手に入ってきた。

「調子はどうだ、坊や。日本人向けに粥というものを作ってきたんだが、食えそうか？｣

「ありがとうございます！おかげでバッチリです！」

「まだ体の傷が塞がっていないだろう。しばらく休むといい。｣

くっ、これだからスパダリは…！平気で人を沼らせる！！

赤井さんはそう言ってトレイを静かに布団の上へ置くと、至極当然といった様子で、平気な顔をしておかゆをよそったスプーンを私の口の前に差し出した。

……おっと？