【どうしてこうなった】降谷さんの勘違い4【名探偵コナン】 (ページ1)

今日:1 hit、昨日:24 hit、合計:5,811 hit

夢想ページ1

───
─

夢を見ていた。
俺は、ピクニックをしていた。

そこには父さんと母さんもいて、俺たちはすこし季節外れの花見をしながら、父さんお手製のサンドイッチを頬張っている。

「これすきー！」

「零くんのサンドイッチはいつ食べてもおいしいもんねー！」

「ははっ、2人とも大げさだなぁ。いつも食べ慣れているものじゃないか。」

ああ、またこの夢だ。
これが終われば、次は･･･──、

「母さん！いかないで……」

「お父さんが危ないの、だからお母さんが行かなきゃ。ごめんね。Aは賢い子だから、きっと大丈夫。」

このとき、泣いて喚いてでも縫り付いて止めていたら、何かが違ったのだろうか。

その後、久しぶりに帰ってきた母は、

棺の中で、俺と対面した。

───
─

「父さん・・・っ！母さんの法事にも顔を出さないで、どこほっつき歩いてたんだよ！」

「･･･すまないA、」

「どうせまた仕事だったって言うんだろ･･･！もううんざりだ･･･」

この日から俺は、この人に父親としての役割を期待するのをやめた。

それからしばらく経った、とある日の昼下がり。
偶然、街中であの人の姿を見た。

久しぶりに見たそいつの顔は、俺には見せたこともないような笑顔で溢れていて。

そんな顔で、知らない女の人の横を歩いていた。

───その瞬間、理解したんだ。

俺は、夢を見てしまっていた。

今はこのような関係であっても、きっといつかは記憶にある過去のように、優しい父に戻ってくれるだろうという、どこまでも都合のいい、甘い夢を。

穏やかな関係を築ける日がきっと来るはずだ、なんて、確証のない、不確かで、曖昧な夢。

たった今から、こんな温くて耳障りな"夢"とは別れを告げよう。

もう、いいだろ。
俺の人生は既に最悪なんだ。

もうこれ以上酷くなってたまるか。

誰かに掻き乱されてたまるか。

最後くらいは、俺の手で──…

なおも隣にいる女性と楽しげに笑う"降谷零"を見て、

──俺は、そう決意した。