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今日も、彼は私のもとに来た。
いやいや、流石に来すぎじゃない?いい加減諦めた方がいいって。
そういう人は結婚できないんだよ。私以外の人を見つけてくれないと、安心出来ないじゃん。
『そろそろ怒るよ?』
「…本当にすまない。謝って済む問題じゃないのは重々承知しているつもりだ。」
『もう、いいから。』
グッと唇をかみしめ、意外にも涙ぐむ彼はとてもかわいらしい。
かわいらしいけども、そういう問題じゃない。帰ってくれないと私が困る。
彼は任務が休みだったからと言って、私の元へ来る。もう正直来ないでほしい。
普段の仕事が激務な分、この時間を睡眠とかに使ってほしいのが私の本音だ。
かと言って、この事を口にしても彼は聞く耳を持たない。
『いい加減にしなよ。』
「…、また来る。」
『…来ても意味無いよ。』
辛辣な私の言葉をものともせず、彼は少し隈が目立ってきた目を伏せながら帰っていった。
『……ほんと、ばか。』
そんな顔するくらいなら、私の事なんて忘れてくれていいのに。
私まで辛くなるじゃん。
あなたは、あなたの守りたい人を守ればいい。それで良いから。
そして、私じゃない他の誰かと結ばれればいい。
私と君じゃ駄目だったというわけだ。
君は顔も申し分無いし、運動も超人並に出来るし、いざと言う時に頼りになるし、なんやかんや優しいし。
絶対、私よりいい人いるから。
だからね。
私のことはね、忘れてよ。
柱のあなたに比べて、私は普通の鬼殺隊士。
顔も普通だし、運動も力も並だ。
頭は、まあ。記憶力はいいと思うけど。
すぐにカッとなっちゃうし。
…まあ、君に対しては優しかったけど。
あなたと私じゃ住む世界が違うんだよ。
『…ほんと、いい大人がみっともないよ。ばか義勇。』
そんな毒を吐いたって、背を向けた彼には届かない。
私は、今更ドッと溢れ返しそうなこの感情に、そっと手を置いた。
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mustard(プロフ) - 本当…私の事泣かせに来てるな!作者さん!!なんだよ!ポケットテッシュ全部使って何が悪い!涙が止まんなかったんだよ!←逆ギレ (2020年3月18日 2時) (レス) id: e36ed0dc7b (このIDを非表示/違反報告)
雫 - 凄く感動しました!!これからも頑張ってください!ありがとうございました!! (2020年1月26日 11時) (レス) id: dbe2a2ad53 (このIDを非表示/違反報告)
大山撫子(プロフ) - ササミさんの新作と聞いて駆け付けてみれば…なんですかこれは!(泣)しかも推しって……涙腺崩壊しました…。自分も占ツクで泣いたの初めてです!ありがとうございました! (2020年1月26日 10時) (レス) id: 7e908248b2 (このIDを非表示/違反報告)
舞雪 - 読んでて途中で気付いて泣いてしまいました・・・。占ツクで泣いたの初めてです!ありがとうございました!! (2020年1月26日 3時) (レス) id: 3f35ea9ba7 (このIDを非表示/違反報告)
はとぽっぽ - ひょええ……感動しました…。こういうオチも好きです!文章の雰囲気が大好きです!有難うございました! (2020年1月25日 21時) (レス) id: 2bd86dfab5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:食物連鎖の頂点に立ったササミ(国産) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/1e4d26931d1/
作成日時:2020年1月25日 21時