Story42 ページ3
・
・
「……少し遅かったか。」
僅かな月光だけが頼りとなる闇の中。
いつもと変わらぬ静かな夜に、その男はそこに直立していた。
「下弦の陸が欠けた故、此奴を入れてやろうと思っていたのだが…。」
_所詮はその程度の者だったと言う事だ。
男はそう自分に言い聞かせると、少し不満気に踵を返した。
__それにしても。
男は思い出す。配下の鬼が消える前の記憶を。
「…何奴だ、あの娘は。」
柱という可能性も考えたが、あの様に弱腰な柱など聞いた事が無い。
其れ故に、その可能性は捨てた。
そして、鬼の記憶から読み取るに、歳はさほど取っていないだろう。
年を取っていないどころか、未だ十五にも満たない様な幼子と捉えられた。
__そして。
何よりも男の心に残るは、少女が使っていた何とも珍妙な呼吸。
これまでに男が目にしてきたどの呼吸にも類わない其れは、かつて男を追い詰めた、とある剣士を連想させた。
「…面白い。鬼にして上弦の月に入れるのも良いかも知れぬ。」
ふつふつと湧き上がってくる好奇心を今は無視し、男は己の住処へと足を進めた。
ーーーー
ーー
『ぶぁっくしゅ!!!
…う、何故だか寒気が……』
「地味に風邪でも引いたんじゃねえの?
にしても派手に品のねえくしゃみだな…」
『心外!…言っときますけど、私宇髄さんが私の事を助けずにずっと私と鬼の戦いを観戦してたの許してませんからね。』
「ド派手に器がせめェな」
『心外ッッ』
・
・
__無論、
当の本人は自身が徐々に厄介事に足を踏み入れているなど、夢にも思っていないのだが。
1799人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちは - 画像が見えませんでしたもう一回乗せて貰っても良いですか? (2021年4月19日 20時) (レス) id: dbf78b71fe (このIDを非表示/違反報告)
抹茶大好き丸 - すごく面白かった!続きが気になる〜!もう、これ終わってる感じすか?マジすか?見たいよ〜!新八のメガネのときスッッッゴイ笑いました。怒られました五月蝿いと!ひどい!ぴえん(?ってこういうときに使うの?) (2020年7月17日 18時) (レス) id: 24ae341109 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート - そうですか!それは良かったです!頑張ってください!私銀魂好きなんで新八が出てきた時飲んでたレモ○ティー吹き出しましたw← (2020年1月28日 17時) (レス) id: dcdae6c8af (このIDを非表示/違反報告)
食物連鎖の頂点に立ったササミ(プロフ) - チョコレートさん» わざわざありがとうございます…!そろそろペットロスからも開放されるので結構良くなりました!これからも更新頑張ってまいりますので、どうか宜しくお願いします!!それと、返信遅くなって本当にすみません…! (2020年1月26日 11時) (レス) id: 1320405534 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート - あらぁ…それはそれは…大丈夫ですか?私ペットを飼った事が無いのでお気持ち完璧にはお察し出来ませんが、これからも更新頑張ってください! (2020年1月20日 16時) (レス) id: dcdae6c8af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:食物連鎖の頂点に立ったササミ(外国産) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/1e4d26931d1/
作成日時:2019年12月29日 19時