炎ゆらゆら、気持ちふらふら。 (ページ9)

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八夜目ページ9

『ねぇ荼毘』

「お前が俺を呼ぶなんて珍しいな」

『いや、単純に気になっちゃって。…何が好きで、ここにいるの？』

私は新しく買ってみた、ピースを吸いながら彼に問いかける。

『質問が悪かったかな。なんで、私を好きになったの？』

荼毘は一拍置いて、ゆっくりと話し始めた。

「お前も、俺と一緒だろ」

荼毘は私の煙草を奪い取り、残りを吸った。

「…相変わらず不味いな」

『何が一緒なの？荼毘の方が私より幾分か自由なんじゃない？』

「…さァな。だが、俺はお前にだったら縛られてもいいんだぜ。そのくらい、愛してんだ」

『へぇ…』

「興味無さそうだな。俺の何が気に入らない？」

荼毘の、どこが気に入らないか。

これと言って、目立つものはないが…。

『別に、気に入らない所なんてない。でも…』

「俺の知らない過去でも引き摺ってんのか、」

『…そんな、引き摺ってるつもりじゃなかったんだけどなぁ』

私としてはしょうがない事だとは思うので、軽く簡単に説明させてもらうが…私の両親は離婚した。

今日に至るまで、ずっと父に育てられてきた。

離婚した理由は、母の不倫だった。

母は父と愛し合った…当時も愛していた上で、別の男も愛してしまった。

結果、父はそんな人に私を任せられない、と私を引き取った。

離婚において、父が親権を勝ち取るケースは多くはない。

そして、性別の差。

これを乗り越えてまで、私を育てあげようと必死になってくれた。

だが、それでも…どうしても、とある時間が、私にとって最も辛かった。