三十四杯目 ページ35
ついに、この日が来た。
大家さんと不動産屋さんから連絡が入り、午前中に荷物を受け取りにくる、とのこと。
『人生で2回も引っ越しすると思わなかったわ』
「贅沢なこった」
『…それは否めない』
部屋のインターホンが鳴り、業者さん達が来て持って行く家具やらを持って行ってくれた。
私達も持つ物を持って、新居へと移動を始めた。
『雄英、近かったけど大丈夫だった？』
「別に、今更ヒーローだとかヴィランだとかどうでもいい。お前がいるならな」
『なぁにキザな台詞吐いてんの。…私も、燈矢とだったらヴィラン社会でも生きるよ』
「当たり前だろ、知らない所で死なせてたまるかよ」
燈矢は私に向かって優しく微笑んだ。
『…うん。死ぬんだったら燈矢の隣で死ぬわ』
「馬鹿言え、お前は生きろよ」
『…もう、一人でいたくないかな』
すると燈矢はあっという顔になり、悪りぃ、と呟いた。
『もう一人にしないでね。寂しかったんだから』
「おう…さっきの、訂正。やっぱ俺の隣で死んでくれよ」
『当たり前でしょ。…ほら、着いたよ』
私は新しい鍵を使って部屋に入ると、家具は指定された場所に既に配置しており、新しい家の匂いがした。
『また冷蔵庫とか、色々見に行かなきゃね』
「…おー」
燈矢はソファに寝転がり、私に向かって手を広げた。
『もう…それはまだ』
燈矢がソファで手を広げる時、それは大体夜のお誘いの合図。
「別に…この後予定ねェだろ」
『なくてもダメ。明日仕事なんだから』
「あー…そういえば、仕事なくなった」
『うん、仕事が…え？なんで、早くない？クビになったの？』
「話を最後まで聞けよ。給料良い割には店員サンとか客とか、ヤベェ奴しかいなかったからな。イカレ野朗を思い出したぜ」
『えぇ…』
「またしばらくしたら探す」
燈矢はヒモになるつもりか？今度魚を晩御飯に出してやろう…。
『全く…。仕事しないんだったら家事手伝ってね。その分仕事の時間増やすから』
「恋人が家で寂しがってんのに、さらに家にいなくなるのか？」
『しょうがないでしょ。休日はちゃんといるから』
「…ちゃんと構えよ？喜多久チャン」
燈矢は体を起こし、ソファに座り直した。
『はいはい。ちゃんと構ってあげるよ、燈矢クン』
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オペ - 無事に尊死…!!! (2022年10月20日 19時) (
レス) @page44 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
sizuku(プロフ) - 主さんのお話最高すぎます、泣！！面白いお話ありがとうございました！！ (2022年4月16日 21時) (レス) @page44 id: e0ce1464e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu→ru | 作成日時：2021年5月16日 22時
