三十三杯目 ページ34
私はまず、味噌汁に口をつけた。
燈矢がこちらをジッと見ていた。少し不安のようだ。
『…うん、美味しいよ』
「…そっちは」
そっち、というのは野菜と肉の炒め物の事だろう。
『じゃあ、こっちもいただきます…！？ごほっ、げほっゴホッ！！』
「…わり、塩コショウ入れすぎた」
『ゲホッ、めっちゃ入れたね…？ゴホッ』
普段強いはずの彼が、こんなに抜けたところを見せられると、思わず笑ってしまう。
『まぁ、美味しいよ。うん、美味しい』
「俺味覚バグってるからな」
『…味、しない？』
「してンのかもしれねぇし、してねェのかもしれない」
『ふーん…』
「あぁでも、キスするときは甘いぜ？」
『馬鹿何言ってんの。早く食べて』
「冷てぇなぁ…」
『ごちそうさま。洗い物しておくから、お風呂入っておいで』
「俺がやる」
『え、なんで』
「なんでもいいだろって…」
まるで突然家事を手伝いたくなる息子のような感じがしてるんだけども…。
『…私が疲れたって言ったから、やってくれてるの？』
「…」
燈矢は黙ったまま。図星らしい。
『…ふふ、ありがと。じゃあ、お言葉に甘えてゆっくりさせてもらうね』
「…おう」
私はその言葉の通り、テレビを見てゆっくりしていた。溜め込んでいた録画を見たり、ゴロゴロしていた。
そして11時半頃。ようやく家事が終わったらしい。
『お疲れ様。ここ、おいで』
「…疲れた」
私は正座をして、彼の頭を膝の上に預かった。
『ありがとう、すごくゆっくりできたよ』
「もっと褒めろ」
『燈矢えらい。さすがスパダリ。私の彼氏、最高に良い男』
「…バーカ」
そう言う彼の顔は、すごく嬉しそうだった。
『寝よっか、遅くなっちゃったし』
私達はベッドに移動して、電気を切った。
「たまにはお前がハグしろ」
『…しょうがないなぁ』
彼は私の胸元あたりに寄ってきて、私は手を回した。
『今日の燈矢くんは甘えたさんかな？』
「別にいいだろ。…柔らけぇなぁ」
『はいはい、早く寝ましょうね…揉まないで！』
「おやすみ」
『もう…おやすみ、燈矢』
私は寝る前に、燈矢の額にキスをして眠りについた。
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オペ - 無事に尊死…!!! (2022年10月20日 19時) (
レス) @page44 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
sizuku(プロフ) - 主さんのお話最高すぎます、泣！！面白いお話ありがとうございました！！ (2022年4月16日 21時) (レス) @page44 id: e0ce1464e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu→ru | 作成日時：2021年5月16日 22時
