二十七杯目(途中から注意) ページ28
そして3日後。
私は受話器の前でソワソワとしていた。
「落ち着けよ」
『だって…』
「抱きしめてやろうか？」
『それは後でして…』
「するのかよ」
そして、電話の音が鳴り響くと私はすぐに受話器を取った。
『はい、柴胡です。…はい、はい…。本当ですか！はい、よろしくお願いします！！』
「その様子じゃ受かったんだな」
『履歴書ちゃんと書いて良かった…』
私はソファにダイブして、クッションを抱きしめた。
『はぁぁ…緊張でお腹痛かった』
「俺が近くにいるのに、他のモン抱きしめてんなよ」
と、クッションを取り上げられる。
『あぁ…クッション…』
「俺でいいだろ」
と、上に乗っかってくる。
『重い〜…』
「そりゃな」
燈矢の吐息が耳にかかってくすぐったい。
『燈矢、どいて。くすぐったい』
「断る」
『えぇ』
しばらくそのままに、私と燈矢はジッとしていた。
『ねぇ、燈矢』
「なんだ」
『私、燈矢の事好きよ』
「俺は愛してる」
『…私も』
「なんだよ、随分珍しいじゃねぇか、喜多久チャン」
『なんか、急に言いたくなっちゃった』
「へぇ…」
『お風呂入ってくるね』
「…おうよ」
なんだか恥ずかしくなって、思わずお風呂場に逃げてきてしまった。
前は裸も見せ合ったのに、久しぶりだからか知らないけど付き合った当初みたいに恥ずかしい。
湯船に浸かって、羞恥心を取るように顔を沈める。
『はぁ…何してんだろ』
「よ」
『どうも…え？』
横を見ると、ここにいるはずのない燈矢がいた。
『な、何してんの！』
「何してるって…俺も風呂入りに来たんだよ」
『後でいいでしょ…！』
「なんだよ、恥ずかしがってんのか？前は俺に裸で縋りついて…」
『言わなくていいから！』
私は燈矢を背に、湯船に深く浸かった。
なんでこんなに恥ずかしい思いしてるの、馬鹿みたい…。
「そういえば」
『何？』
「お前、この世界ではまだハジメテだよな」
『…え』
「元カレつっても前の世界での話であって、こっちでは俺が初カレシだろ？」
『…！！』
更に顔に熱が集まってくるのがわかる。
「俺も生憎ハジメテなんだよ…」
『…』
「お互い、奪い合おうぜ…」
『一々言わなくていいから…！』
「言わなきゃわかんねェだろ？」
耳のすぐ側で燈矢の声がして、驚いた瞬間胸に彼の手が伸びていた。
『ちょ、ちょっと…やめ、』
「もっと、だろ？ソファでも、少し期待してたんだろ？」
『そんな事ない…』
「本当か？」
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オペ - 無事に尊死…!!! (2022年10月20日 19時) (
レス) @page44 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
sizuku(プロフ) - 主さんのお話最高すぎます、泣！！面白いお話ありがとうございました！！ (2022年4月16日 21時) (レス) @page44 id: e0ce1464e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu→ru | 作成日時：2021年5月16日 22時
