二十六杯目 ページ27
引っ越す前に、私は出来るだけ早めに決めなければならない。
それは転職先である。
『どこかいい所ないかな…』
「どこでもいいんじゃねぇの」
『燈矢も働いてね』
「…」
生憎、私だけの給料で生活していけるとは考えにくい。燈矢の手伝いも欲しい。
『…ここの喫茶店いいな』
「オイオイ、カレシがいるのに接客業か？」
『どの仕事もほとんど接客業だから』
「…」
その、言う事なくなったら黙り込むのやめようよ。少しジワジワくるから。
『ここ、面接してくるね。燈矢もせめてアルバイトくらいはして』
「…へーへー」
私は電話で連絡し、面接へと出かけた。
燈矢side
喜多久が行ってしまった。
一人、部屋に取り残された俺。
「働く…」
俺は前は敵だったから働いた事なんざ無いし、接客業だって出来るかわからない。
『…バイト、ねぇ』
いっその事喜多久と同じ所で働くか？
いや、それはなんとなく怒られそう。
じゃあ無難にコンビニとかか？
それはそれで死柄木とか、トガに遭遇する気がする。
さっきまで喜多久が見ていた求人雑誌を眺め、溜息を吐く。
「…お。ここいいんじゃないか」
見つけたのは居酒屋の店員。接客業だが、割と給料がいい。
「ここ、行ってみるか」
喜多久side
『…あれ、燈矢いない』
家を出てから数時間後に帰宅したが、燈矢がいなかった。
テーブルの上を見ると、家を出るまでには片付けていた求人雑誌が無造作に置かれていた。
まさか、燈矢が面接に行った…？
その可能性は高い。しかし、果たして本当に働くのだろうか…。
「ただいま」
『おかえり、どこ行ってたの？』
燈矢はソファに座ると、ニヤッとしながらこう言った。
「面接。信じらんねぇだろ？」
『…いや、行ったのは信じるけど。燈矢が嘘つく事あまりないし。で、結果はいつって？』
「その場で採用された」
『うんうん、採用され…え？採用されたの？』
「おう」
『へぇ…なんか決定的な事言ったの？』
「いや、別に。人手が足りないから誰でもいいってさ。ウケる」
『ウケ…るの？まぁ、良かったじゃない』
「お前は？」
『3日後だって』
私が行った喫茶店は、とても雰囲気が良かった。
木造で、あたたかい感じがして穴場スポットのような場所だった。
『お互い頑張ろうね』
「おう」
私と燈矢は拳をコツン、と合わせた。
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オペ - 無事に尊死…!!! (2022年10月20日 19時) (
レス) @page44 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
sizuku(プロフ) - 主さんのお話最高すぎます、泣！！面白いお話ありがとうございました！！ (2022年4月16日 21時) (レス) @page44 id: e0ce1464e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu→ru | 作成日時：2021年5月16日 22時
