十七杯目 ページ18
私はまた、深夜に街を歩いていた。
死柄木には懲りないな、と言われた。
しょうがないでしょ、この夜の空気が好きなんだから。
最近、ビル付近を歩くのがとても楽しい。
それは何故か？
前と、同じ理由。
「また来てんのかよ」
『来ちゃ悪い？』
彼がいるから。
『今から屋上行くところなの。貴方も来ない？』
「指示するな、俺の場所だ」
と言いつつ、一緒に外階段を登る。
『私、この場所好きだなぁ』
「そりゃあ俺が選ぶ場所だからな」
『…そうね』
私はやっぱり柵にもたれかかって、ネオンの街の景色を眺める。
「お前、馬鹿だよな」
『なんで？』
「わざわざヴィランってヤツの前に現れるなんて馬鹿のする事だ。死にたいのか？」
『まさか。…でも、あんな綺麗な炎に包まれて死ぬなんて素敵』
「…やっぱり、お前馬鹿だよ」
『馬鹿でいたいの』
馬鹿でいたら、貴方の前に現れることができるから。
貴方と会うことができるから。
「…お前、男いるだろ」
『え…なんで？』
「そういうニオイすんだよ…そのパーカーも、男のだろ」
『…まぁね。でも、恋人じゃない。服がないから借りてるの』
「何、誘拐されてんの？」
『そんな感じ。でも、居心地は良い』
「…イカれてる」
『…そうよ。私は馬鹿でイカれてる。でもね、そうさせたのは私を好きにさせた人のせい』
「そのパーカーの持主かよ」
『違う』
「即答してやんなよ、カワイソウだろ？」
『思ってもないクセに』
荼毘はまぁな、と嘲笑う。
『私の名前は喜多久』
「は、なんだよいきなり」
『貴方の名前も教えてほしいな、って』
「言うかよ」
『いいじゃない、別に減るモンじゃないんだし』
「…はぁ。荼毘」
『荼毘…偽名？』
「そうだ」
『じゃあ、いつか本当の名前教えてね』
「誰が教えるか」
『ケチね〜』
「知る必要ない」
この場面。一度似たような会話を交わしたな、と思い出す。
『…無理、しないようにね』
「オイオイ、どの男と重ねて言ってんだよ…燃やすぞ」
『そういう意味じゃなくて。…わからなくていいよ』
わかってほしい。けど、わからなくていい。
それが、もしかしたら貴方にとって一番安全かもしれないから。
『ん〜…そろそろ帰ろうかな。寒くなってきたし』
「早く帰れ」
『はいはい。…またね』
「会うわけねぇだろ、浮かれんな』
最初は、こんなに冷たかったのね。
『ただい…死柄木！？どうしたの、その怪我…！』
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オペ - 無事に尊死…!!! (2022年10月20日 19時) (
レス) @page44 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
sizuku(プロフ) - 主さんのお話最高すぎます、泣！！面白いお話ありがとうございました！！ (2022年4月16日 21時) (レス) @page44 id: e0ce1464e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu→ru | 作成日時：2021年5月16日 22時
