十六杯目 ページ17
「おいおい…奇妙なモンおったててんじゃねぇよ。
それに、お前らヴィランかと思って来れば…ただのチンピラじゃねぇか。期待して損したぜ」
私の背後から、聞き慣れた懐かしい声がした。
「誰だよテメェ…お前も俺たちのテリトリーに」
「ここは俺のだ。お前ら、勝手に出入りしてんじゃねぇよ」
口には出さなかった。でも、心の中で精一杯に叫んだ。
燈矢…。
「その女後回しだ…この男ぶっ殺せ！！」
「おうよ！！」
すると、男三人は燈矢に向かって駆け出した。
「雑魚のくせに…歯向かって来てんじゃねぇぜ！！」
そう言うと、彼の手からはたくさんの蒼い炎が出て、あっという間に彼らを焼き尽くした。
「おい、お前」
『あ…ありが、とう』
「はぁ？」
そうだ。彼は私を知らない。
『あ、ごめんなさい…えぇと…』
どういう、顔をすればいいんだろう。
会えて嬉しい。でも、私を覚えていなくて寂しい。
「なんだ、お前。イカれたか？」
『…ごめんなさい、疲れてて』
「はっ…社畜か？」
『元、ね』
なんだか、この会話が懐かしく感じる。
彼の声を私は聴いてる。彼のそばにいる。
「…よく見れば」
荼毘は私の顔を覗き込んだ。
『何…？』
「お前、行方不明になってる女じゃねぇか。家出か？」
『貴方…私がいくつに見えてるの。それに、社畜って言ってたじゃない』
「言ったなぁ。変な男にでも捕まって逃げ出して来たか？」
変な、男。
元彼の事を思い出す。
なんで、彼が言う事はこんなに前と似てるの。
『…違うよ。私は表に出るつもりはないから、貴方のことも警察には通報しない。…それじゃあ』
私はその場を立ち去ろうとした。
「お前、妙だな」
『…何が？』
「…なんでもねぇ。早く行けよ」
私、どうにかなりそう。
覚えてなくても、彼と会話しただけでこんなに嬉しいなんて。
でも、やっぱり寂しい。
前みたいになりたかった。
いや、未練がましいことを言うのはやめよう。
私は、いつも歩いていた道を歩いて帰った。
「おい、なんで遅かったんだよ」
帰って来て早々、死柄木に怒られる。
時間を見れば、時間は夜中の1時を回っていた。
『チンピラに絡まれて。でも…あぁ、ヒーローが来てくれて助かったよ』
「じゃあなんでお前連れてかれてないの」
『その間に逃げて来たから』
「ふーん…。お前、スパイとかやっぱ向いてない。戦えもしない奴入れてもしょうがない。ここにいてまとめてろ」
「はいはい…』
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オペ - 無事に尊死…!!! (2022年10月20日 19時) (
レス) @page44 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
sizuku(プロフ) - 主さんのお話最高すぎます、泣！！面白いお話ありがとうございました！！ (2022年4月16日 21時) (レス) @page44 id: e0ce1464e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu→ru | 作成日時：2021年5月16日 22時
