百伍話 ページ9
『これは…うーん…』
私は姫しずかの花粉と、いくつかの雄蕊雌蕊を見比べながら唸っていた。
いくら他の遺伝子を組み換えたりしても、姫しずかの人工栽培が成功することはなかった。
確かに、これは姫様が困るのもわかる。
「グレイ殿。そろそろ床に就いてはどうでござるか？夜更かしは身に普段がかかるで候」
スッパさんがお茶を持ちながら、そう促した。
『でも…ここまで報告書を沢山書いたのに、全て失敗といった内容ばかりですから…少しでも進歩しないと』
「何、いずれ成功するでござるよ」
スッパさんは私の頭を優しく撫でた。
『…はい。また明日にします。サイカさんに店を任せきりなのも悪いですしね』
「奴はあのくらいで良かろう」
『もう、またそんな事言って…』
私はピンセットなどを片付け、蝋燭の火を消そうとした。
その時、家の戸を誰かが叩いた。
私が出ようとすると、スッパさんは私よりも素早く動いて戸の前に立った。
「何用でござるか？」
「夜分遅くにすみません。ポストマンでございます。ハテノ研究所からお手紙です。それでは！」
ポストマンが去った後、私はスッパさんに近づき、手紙に目をやった。
『送り主は？』
「ハテノ研究所の…ゼルダ殿からでござる。グレイ殿宛故、拙者が開ける事はできぬ」
私はスッパさんから封筒を受け取り、ナイフで封を切り、手紙を取り出した。
"グレイさんへ
この手紙が届く頃には、夜遅くなってしまっているかもしれません。
もしそうであったならば、すみません。
白いガーディアン…テラコの修復が終わり、テラコの記憶の中にイーガ団の記憶もあった為、コーガさん、スッパさん、グレイさんにハテノ研究所まで来て欲しいのです。
勿論、すぐにとは言いません。
お待ちしております。
ゼルダ"
『白いガーディアン…』
「あぁ、あの小さきガーディアンでござるか。いつ発つので？」
『うーん…ゼルダ様をお待たせするわけにはいきませんし…サイカさんにはまだ仕事を任せて、明日にでも発ちましょうか。ここからハテノ研究所までそう遠くはないですし』
「相分かった。ならば、尚更早く寝なければならぬな」
スッパさんはふぅ、と蝋燭の火を消した。
「おやすみでござる」
『おやすみなさい、スッパさん』
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ねこ - いつも影から楽しく見させて頂いております<(_ _)>3章を続けていくのもとても気になります…が、個人的にyu→ruさんの恋情シリーズも見てみたいな〜、と思ったので、私は3を選ばせて頂きます。 (6月20日 16時) (
レス) @page7 id: 491a8dd465 (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - シリーズ3作目おめでとうございます✨私は3章がどんなふうに続いていくのか気になるので1です！ (6月19日 6時) (レス) @page7 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu→ru | 作成日時：2023年6月19日 1時
