佰弍拾伍話 ページ29
『アストルさん』
日付が回りそうな時間帯、グレイは私の元に訪ねてきた。
「もう遅いぞ」
『あはは、生活リズムはそんな早くに戻りませんよ。…ご飯とか色々、ありがとうございました』
浴衣に身を包んだグレイは、私に向かって一礼した。
「…こんな深夜に私の元を訪れるなど、旦那に誤解されるぞ」
『そうですね…。でも、何故かわかりませんが…不思議と、今の貴方からは私に被害を及ぼす気配を感じられないのです。勿論、昔は最低でしたがね！！！』
「…」
『アストルさんの状態は、プルアさん、姫様の方に伝えてあります。まだ返事はないので、おそらくまだ観察は続くと思います。…すみません』
グレイは突然謝った。
「何故謝る」
『もう状態は平気だとは思うのですが…こんな生活、嫌でしょう？誰かに監視されながら生活するなんて』
「仕方があるまい。私がやった事実は、本来許されるべき事ではないのだ。むしろ、何故私が今四肢が残っている状態でこのように生きていられるのかが不思議なくらいだ」
『まぁ…それはそうですけど』
グレイの顔が、蝋燭の火に照らされてぼんやりと浮かんで私の目に映った。
嗚呼、やはりそうだ。
昔の私ならば…ここで、きっと何かしでかしてしまう。
スッパという存在があるなら尚更だ。
だが、今は不思議と二人きりでもそのような気が起きる事はなかった。
だが…心が暖かい。
そんな気がするのは何故だろうか。
『そろそろ寝ますね。明日も研究とか、商品開発とか色々しないといけないので』
「グレイ」
私がそう呼ぶと、グレイの澄んだ瞳は私を捉えた。
「あまり無茶をするな。人間の体は脆い。休める時に休め」
私の口からそんな言葉が出る事に、私自身も驚いていた。
だが、グレイは驚く事なく、にっこりと笑ってはい、と答えた。
私は枕元の灯りを消して、布団に入った。
こんな生活が続いているが、いずれは私はここから出ていかねばならない。
その時を考えて、これからどうしていくかも考えておかねば…と思いながら、目を瞑った。
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ねこ - いつも影から楽しく見させて頂いております<(_ _)>3章を続けていくのもとても気になります…が、個人的にyu→ruさんの恋情シリーズも見てみたいな〜、と思ったので、私は3を選ばせて頂きます。 (6月20日 16時) (
レス) @page7 id: 491a8dd465 (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - シリーズ3作目おめでとうございます✨私は3章がどんなふうに続いていくのか気になるので1です！ (6月19日 6時) (レス) @page7 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu→ru | 作成日時：2023年6月19日 1時
