佰壱話 ページ3
その日の昼頃、露店にリンクがやってきた。
『珍しいですね、どうかしましたか?』
「姫様がお呼びだ」
『えっと…誰を?』
リンクは私をじっと見ていた。
『…え、私、何かしましたか…?』
私は恐る恐るリンクについていった。
スッパさんは心配そうにこちらを見つめていた。
案内されたのは、城ではなく、ハイラル平原の花が多く咲いている場所であった。
「グレイさん!」
『ゼルダ様、お久しゅうございます。それで、要件とは…』
ゼルダ様は私が身構えているのをおかしく思ったのか、ふふ、と笑った。
「そんなに身構えないでください。ただ、お願いをしたいだけなのです」
『お願い、ですか?』
「貴方の植物に対する関心は、とても素晴らしいものだと思いまして。…姫しずか、という花をご存知ですか?」
『はい。たしか、絶滅危惧種の花ですよね』
ゼルダ様は頷いた。
「城で人工栽培を行っているのですが、中々上手く繁殖してくれなくて…。貴方の力があれば、もしかしたら成功するかもしれない、と思ったのです。もし姫しずかの人工栽培が成功すれば、きっとハイラルの自然がより豊かになると思うのです。もちろん、お礼はします!ですから…」
『是非やらせてください!』
私はずいっと身を出し、ゼルダ様の手を握った。
『姫しずかはとても良い香りで、女性にはとても人気なのです。もし他の植物と同じくらいの繁殖力になれば、ハイラルの自然はもちろん、経済もより豊かになるはずです。
この件、是非協力させてください!』
ゼルダ様は嬉しそうな顔をした。
「ありがとうございます!」
『また後日、その件について話し合いましょう。ゼルダ様が知っている情報を全てお教えしてくれれば、あとはこちらでなんとかしましょう!』
「まぁ、頼もしいですね!」
私達がきゃっきゃと盛り上がっているのを、リンクは微笑ましそうに見ていた。
こうして、私は露店を構えたと同時に、ハイラルの植物研究者として選ばれたのであった。
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ねこ - いつも影から楽しく見させて頂いております<(_ _)>3章を続けていくのもとても気になります…が、個人的にyu→ruさんの恋情シリーズも見てみたいな〜、と思ったので、私は3を選ばせて頂きます。 (6月20日 16時) (レス) @page7 id: 491a8dd465 (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - シリーズ3作目おめでとうございます✨私は3章がどんなふうに続いていくのか気になるので1です! (6月19日 6時) (レス) @page7 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yu→ru | 作成日時:2023年6月19日 1時