検索窓
今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:2,798 hit

佰拾参話 ページ17

「…グレイで、思い出したのがあった。ちょっと待っててくれ」

コーガ様は近くの棚から、白い布で包まれた木箱を取り出した。

『なんですか?それ』

コーガ様は見てろ、と言うように箱を開けた。

「…グレイが生きてた時、渡そうと思ってたトパーズとオパールの髪飾りだ。お前、頭んとこにルビーのやつ、つけてるだろ?」

コーガ様は自分の頭をつんつんと指し示した。

「旦那から貰ったって言っててよ。すっごく嬉しそうだったぜ。だから、若き俺様も、それに似合うようなトパーズの髪飾りを拵えたんだ。あくまでもルビーのが目立つように…小さい奴にしたんだ」

コーガ様の言う通り、小さな可愛らしい髪飾りであった。

トパーズを真ん中に、オパールがそれを囲うように配置されていて、まるで花のようであった。

「だけど…渡す前に亡くなっちまったよ。ずっと、渡せなかったんだ。だから…」

その時だった。

私の体が、再び白い光に包まれ始めた。

「なっ、早すぎるだろ!」

『…そろそろ、お時間のようですね』

「っ、これ持ってけ!」

コーガ様は、その髪飾りを渡しの手に握らせた。

『いけませんコーガ様!この髪飾りは…!』

「俺がずっと持っててもしょうがねぇだろ!元より、お前に…グレイに渡そうとしてたもんだ!…代わりって言い方だと悪いけどよ。お前が…いや、お前に使って欲しいんだ」

『コーガ様…』

「お前に言ってもしょうがねぇが…俺様は、ずっとグレイを
敬愛してたんだぜ。どの時代でも、お前はお前で、俺は俺だ。それだけは忘れてくれるなよ」

コーガ様は私の空いている方の手を握りしめた。

「いつかまた会おうぜ!グレイ__________」

佰拾肆話→←佰拾弍話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
13人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ねこ - いつも影から楽しく見させて頂いております<(_ _)>3章を続けていくのもとても気になります…が、個人的にyu→ruさんの恋情シリーズも見てみたいな〜、と思ったので、私は3を選ばせて頂きます。 (6月20日 16時) (レス) @page7 id: 491a8dd465 (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - シリーズ3作目おめでとうございます✨私は3章がどんなふうに続いていくのか気になるので1です! (6月19日 6時) (レス) @page7 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:yu→ru | 作成日時:2023年6月19日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。