佰拾参話 ページ17
「…グレイで、思い出したのがあった。ちょっと待っててくれ」
コーガ様は近くの棚から、白い布で包まれた木箱を取り出した。
『なんですか?それ』
コーガ様は見てろ、と言うように箱を開けた。
「…グレイが生きてた時、渡そうと思ってたトパーズとオパールの髪飾りだ。お前、頭んとこにルビーのやつ、つけてるだろ?」
コーガ様は自分の頭をつんつんと指し示した。
「旦那から貰ったって言っててよ。すっごく嬉しそうだったぜ。だから、若き俺様も、それに似合うようなトパーズの髪飾りを拵えたんだ。あくまでもルビーのが目立つように…小さい奴にしたんだ」
コーガ様の言う通り、小さな可愛らしい髪飾りであった。
トパーズを真ん中に、オパールがそれを囲うように配置されていて、まるで花のようであった。
「だけど…渡す前に亡くなっちまったよ。ずっと、渡せなかったんだ。だから…」
その時だった。
私の体が、再び白い光に包まれ始めた。
「なっ、早すぎるだろ!」
『…そろそろ、お時間のようですね』
「っ、これ持ってけ!」
コーガ様は、その髪飾りを渡しの手に握らせた。
『いけませんコーガ様!この髪飾りは…!』
「俺がずっと持っててもしょうがねぇだろ!元より、お前に…グレイに渡そうとしてたもんだ!…代わりって言い方だと悪いけどよ。お前が…いや、お前に使って欲しいんだ」
『コーガ様…』
「お前に言ってもしょうがねぇが…俺様は、ずっとグレイを
敬愛してたんだぜ。どの時代でも、お前はお前で、俺は俺だ。それだけは忘れてくれるなよ」
コーガ様は私の空いている方の手を握りしめた。
「いつかまた会おうぜ!グレイ__________」
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ねこ - いつも影から楽しく見させて頂いております<(_ _)>3章を続けていくのもとても気になります…が、個人的にyu→ruさんの恋情シリーズも見てみたいな〜、と思ったので、私は3を選ばせて頂きます。 (6月20日 16時) (レス) @page7 id: 491a8dd465 (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - シリーズ3作目おめでとうございます✨私は3章がどんなふうに続いていくのか気になるので1です! (6月19日 6時) (レス) @page7 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yu→ru | 作成日時:2023年6月19日 1時