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玖拾捌話 ページ50

『…彼が亡くなったのは、貴方のせいじゃないよ』

「お前は…目の前に敵がいる時にでさえそんな言葉をかけるんだな」

『だって、落ちる時に頭を守ってくれてたでしょう?』

「…知らない」

『素直じゃないんだから』

"貴方のせいじゃない"

その言葉が、心の中で反芻した。

『彼は、貴方が強かろうが弱かろうが、きっと貴方を残していった。貴方を守りたかっただろうから。確かに、あの占い師には多くの人が傷つけられた。私も、その一人。皆同じ苦しみを味わった、とは言わない。皆、それぞれの苦しみを味わっただろうから』

グレイは、俺の頬を撫でた。

『一人で苦しむ必要はないの。その為のイーガ団なんだから。理由はそれぞれだけど、何かの理由でここに集まった。中には王家の恨みなんか持たず、ただコーガ様に寄り添う為だけにいる者もいる。仲間がイーガ団だから、イーガ団に入って来た者もいる。友情、恋情、家族愛…理由はなんだっていい。皆、各々の想いに寄り添う為にいるんだから、さ、』

その時、俺の頬に触れていたグレイの手が地に落ちた。

グレイの腹から、大量に出血していた。

恐らく、落ちてきた衝撃から傷口が開いたのだろう。

俺が、呪いの力を解けば、傷は治る。

「…俺は」

本当は、自分を呪いたかったのかもしれないな。

俺は呪いの力を口から吐き出した。

黒い塊が、蠢いている。

「もう、必要ないな」

俺は黒い塊を踏み潰した。

塊は塵となり、空に消えていった。

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yu→ru(プロフ) - ゆたんぽさん» 途端に出てきたオリキャラについての感想ありがとうございます…!笑 めちゃくちゃオリジナルストーリーなので批評とか少し怖かったのですが、めちゃありがたいです…!😆 (6月19日 1時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - サイカが呪いを解くまでのストーリーが好きすぎます…😭 (6月19日 0時) (レス) @page50 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆたんぽさん» すみません〜、ちょっとバタバタしていて…笑まだまだ続きますよぉ〜〜〜!!!😆 (6月3日 19時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - 2日ぶりの更新!やっと正式にくっ付きましたね!!嬉しすぎて発狂しました…wこれからも更新頑張ってください!!! (6月3日 0時) (レス) @page22 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆたんぽさん» いつもコメントありがとうございますぅ…!!!できるだけ毎日投稿をしてるので是非読んで下さると私が泣いて喜びます…😇 (5月25日 23時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yu→ru | 作成日時:2023年5月21日 0時

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