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玖拾漆話 ページ49

「あれ見たら、勝てねぇよなぁって。だから俺、あの二人の比翼連理を見守っていようって思ったわけよ」

「はぁ、どうでもいいな」

「お前…」

自分達さえ良けりゃいいと思っていた。

それに、自分達は強いから誰かに奪われるという不安などもなく、このまま過ごせてたらいいと思っていた。

しかし、そんな日々も呆気なく終わりを告げることになる。

厄災討伐直前の事だった。

占い師の様子がおかしい、という報告を受け、ネゴロや他の団員、コーガを筆頭に調査に行く事になった。

「サイカ、君はここに残れ」

「おい、待てよ!俺も行く、なんでお前だけ行くんだよ!」

「これ以上団員を減らすことは良くない。だから君はここに、」

「ネゴロがいなくなる理由にはならないだろ?!」

俺の叫び声が辺りに響いた。

「…サイカ。よく聞いて。僕はいなくならないし、イーガ団は不滅だ。何事も良い方に動く」

ネゴロの真っ直ぐな目に、俺は何も言えなかった。

ネゴロは、強くコーガを信頼していた。

だから。

「必ず帰ってくるよ。愛してる、サイカ」

だから、ネゴロは。

「そんな、なんで、」

コーガについていき、死んだ。

俺はあの時、足が立ちすくむばかりだった。

ネゴロの亡骸を抱き、俺は泣いた。

俺が…強かったら。

ただ肉体的な意味だけの強さではない。

心が強かったら。

ネゴロは死ななかったかもしれない。

いや…俺のせいじゃない。

何もかも、コーガのせいだ。

イーガ団のせいだ。

もっと、強くなって復讐をしなければ。

そうやって、責任転嫁をしていき、やがてそれは本来の目的とはかけ離れた野望へと変わっていった。

俺は占い師が死んだと言われる場所まで行き、あるものを感じ取った。

微かに奴の執念が残っている。

これは、何かに使えるかもしれない。

俺は執念…憎悪を塊化させた。

手に黒い"呪い"が現れ、俺はそれを飲み込んだ。

全てを滅ぼす呪い。

だが、それは先程述べたように微かだった為、傷をつけてもゆっくりと蝕むだけの力しかなかった。

だが、それでも人間相手にはとても有効であった。

だから、俺はこの力を利用した。

利用して、自我を忘れていった。

自分は悪くない。

全部、全部、全部。

イーガ団のせいだと、思い込むようにした。

それが、俺の成れの果てだ。

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yu→ru(プロフ) - ゆたんぽさん» 途端に出てきたオリキャラについての感想ありがとうございます…!笑 めちゃくちゃオリジナルストーリーなので批評とか少し怖かったのですが、めちゃありがたいです…!😆 (6月19日 1時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - サイカが呪いを解くまでのストーリーが好きすぎます…😭 (6月19日 0時) (レス) @page50 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆたんぽさん» すみません〜、ちょっとバタバタしていて…笑まだまだ続きますよぉ〜〜〜!!!😆 (6月3日 19時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - 2日ぶりの更新!やっと正式にくっ付きましたね!!嬉しすぎて発狂しました…wこれからも更新頑張ってください!!! (6月3日 0時) (レス) @page22 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆたんぽさん» いつもコメントありがとうございますぅ…!!!できるだけ毎日投稿をしてるので是非読んで下さると私が泣いて喜びます…😇 (5月25日 23時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yu→ru | 作成日時:2023年5月21日 0時

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