捌拾陸話※流血表現注意 ページ38
『なっ、』
私はその場に倒され、何者かによって上に跨がられた。
「許してくれ…!」
よく見ると、顔がある場所には例の仮面がつけられていた。
何故気配に気づく事ができなかったのだろうか。
『離してッ!!』
私は必死に抵抗するが、力技で叶う事はなかった。
「許してくれ、許してくれ…!」
『…?その、声…』
私は声に聞き覚えがあった。
『イーガ団にいた時、一緒に食堂いた…』
「っ、覚えて、たのか」
相手は刃物を持っていた手を脱力して下ろした。
『どうして…』
「…サイカに、殺される」
『…え?』
彼はポツリポツリと話し始めた。
「フーマ軍の多くが、脅されて所属してるんだ…俺もその一人…。嬉々として殺戮を繰り返すのは50人ほどの幹部…その他は…任務をこなせないと、サイカに殺されるんだ…!」
私は言葉が出なかった。
「頼む、俺も…死にたくはないんだよ…助けてくれ、頼む、グレイ…!」
目の前の相手は涙を流し始めた。
仮面の隙間から、涙が滴り落ちた。
大丈夫、きっと…いや、絶対助ける。
そう言いかけた時だった。
目の前が、真っ赤に染まった。
「おいおい…ぼさっとしてないでさっさと殺せよ、愚図が…」
「さい、か、様」
刀が彼の腹から引き抜かれ、血が噴き出た。
何度も何度も刀で切りつけられては刺されたりして、血が噴き出た。
そして、体の重みが消えた。
彼が…いや、彼だったものが蹴られ、そこに横たわっていた。
「よぅ…面と向かって会うのは初めてか、グレイサンよ?」
『ぐっ、!』
腹を踏みつけられ、強い力で押さえてくる為身動きがとれなくなった。
「あの幹部のスッパサマと結婚なさって、大変めでたい事だ…。そうだ、結婚祝いをやってねぇなぁ…」
サイカは刀の血を振り落とした。
「お前の頭でもアイツに贈ってやろうか!!なぁ?!」
刀を垂直に持ち、私の顔面目掛けて突き下ろしてくる。
私はそれをなんとか避け、足に肘打ちしてなんとか振り解いた。
「どうやって戦ってくれんだ?お前、強いんだろ?」
『いい加減に…!』
その時、足元にいた彼が呻き声を出しながら、私にしか聞こえない声でこう言った。
"やつは…あの占い師に似た、吸魂するような力を持っている。気をつけろ…"
そう言って事切れてしまった。
『…後で、ちゃんと迎えにくるから』
私は彼の開いたままの目を瞑らせた。
「俺とお前、どっちが勝つかな…?」
『絶対に生きてみせる』
私は相手を睨み付けた。
21人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yu→ru(プロフ) - ゆたんぽさん» 途端に出てきたオリキャラについての感想ありがとうございます…!笑 めちゃくちゃオリジナルストーリーなので批評とか少し怖かったのですが、めちゃありがたいです…!😆 (6月19日 1時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - サイカが呪いを解くまでのストーリーが好きすぎます…😭 (6月19日 0時) (レス) @page50 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆたんぽさん» すみません〜、ちょっとバタバタしていて…笑まだまだ続きますよぉ〜〜〜!!!😆 (6月3日 19時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ(プロフ) - 2日ぶりの更新!やっと正式にくっ付きましたね!!嬉しすぎて発狂しました…wこれからも更新頑張ってください!!! (6月3日 0時) (レス) @page22 id: dbdf82a303 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆたんぽさん» いつもコメントありがとうございますぅ…!!!できるだけ毎日投稿をしてるので是非読んで下さると私が泣いて喜びます…😇 (5月25日 23時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:yu→ru | 作成日時:2023年5月21日 0時