捌話 ページ8
無事ヘブラツバキの採取を終えた私は今、ヘブラ地方の気候とは真逆のゲルド地方へと赴いていた。
『あつい…』
先程オアシスに辿り着き水分補給を終え、ゲルドの街へと進んでいた。
「サヴァーク。お嬢さん、大丈夫かい?顔色が優れないよ」
ゲルドの街の目の前にようやく辿り着いた時、私はゲルド族に話しかけられた。
『あはは…ちょっと、暑くて…こんなの初めてで、体が慣れてないみたいです…』
「確かに初めて来る人には厳しい猛暑かもしれないね…水場に案内しよう」
私はふらふらと、おぼつかない足取りでついていく。
正直、蜃気楼が凄いのか、目眩がしているのかわからないくらいには参ってしまっていると思う。
「ここだよ…って、本当に大丈夫かい?」
『大丈夫、です』
その時、私の視界はぐらりと揺れ、床に座り込んでしまった。
あぁ、これは本格的にやばいな。と、感じた時だった。
「華奢なヴァーイなんだから無理をしないほうがいいよ、体を壊しちまう」
そっ、と誰かに抱き抱えられる感覚がした。
「ウルボザ様!申し訳ございません、私が先に涼しい場所に案内していれば…」
「いや、この容態だとそこにも辿り着けなかっただろう。少し失礼するよ」
ウルボザ様、と呼ばれる恐らくゲルドの族長であろう人は、私の襟元から指を入れ、私の服を覗き込んだ。
「やっぱり。この子はヘブラ地方から来た子だ、厚着をしている。脱ごうにもこの服じゃ体温調節ができない。ハルラ、この子に服を用意してやってくれないか」
「わかりました!」
『ありがとう、ございます…』
「困った時は助け合わないと。ね?」
なんて優しい人なのだろう。
姉御肌、と呼ばれるやつだろうか、安心感が凄い。
「ウルボザ様!こちらでよろしいでしょうか」
「あぁ、これなら肌を見せずに体温調節ができるだろう。まずは水を飲みな」
ウルボザ様は私の口元にコップを寄せた。
私はそれを受け取り、喉へ勢い良く流し込んだ。
そして肌着を受け取り、厚着から薄手の生地の服へと着替えた。
『あの、本当にありがとうございました!死ぬかと思いました…』
「アンタ、名前は?」
『グレイと申します!』
「そうか。グレイ、なんでこんな場所に準備もなしで来たんだい?何かしらの理由があるんだろ?」
『えっと…リトの村で、ゲルド地方には赤くて潤い成分を多く含んだ花がある、と聞きまして…』
「そんな花、聞いたことないねぇ…」
『え?』
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アッキー - 初めまして!スッパ夢見させて頂きました!凄く面白かったです!Twitter(X)もフォローさせて頂きました!アッキー@×OSP&T.K.familyというアカウントなので是非フォローしてくれると幸いです!無理なら構いません。 (11月25日 11時) (レス) @page27 id: 9a164c919b (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひえぇ…コメありがとうございます…!! (5月15日 0時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - 恋心の利用は辛いですよね…この小説本当に感情移入ができるのが良すぎて泣きそうです… (5月14日 23時) (レス) @page36 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひゃああ!ありがとうございます!!!😭 (5月10日 23時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - めっちゃウズウズしますね🥰最高すぎます!! (2023年5月10日 22時) (レス) id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yu→ru | 作成日時:2023年5月4日 23時