肆拾捌話 ページ49
例の事件を起こす二日前の事だ。
私は何か奴らの情報はないかとアジトを練り歩いていた。
暫く歩いて、部屋にだったら何かあるのではないかと思い、奴らがいない時間帯にそっと部屋に忍び込んだ。
グレイとスッパは相部屋だ。
左半分がグレイ、右半分がスッパ、というようになっているらしい。
私はグレイの部屋の方を見た。
フラスコやビーカー、ピペットといったものや、植物の図鑑が沢山山積みになっていた。
机の上にはそれだけでなく、瓶に詰められた花の香りをした液体がいくつか置かれていた。
これがイーガ団の噂する洗髪剤や洗剤といったやつか。
私は一つ小瓶をローブに仕舞い込んで、今度はスッパの部屋の方へと視線を向けた。
奴は刀や鍛錬道具など、大して面白くない物ばかりが置かれていた。
「ん…?」
机上に、何か本が置かれている。
いや…これは、日記だ。
私は日記を手に取り、ページをめくった。
最初の方は5年前だろうか。
特に面白い事は書かれていない。
が、3年前になった瞬間、グレイの事が沢山書かれていた。
"◯月◯日
今日、イーガ団にグレイという少女を迎えた。
どうやらシーカー族ではあるようだが、何か訳ありのよ
うである。暫く様子を見てみよう。
◯月△日
グレイは随分素直な少女であった。彼女からしたら何も
知らない環境であるのに、健気に家事をこなしていた。
皆の健康に関わるから、と毎日違う献立を立てて朝昼晩
の食事を作っている。皆彼女の料理に胃袋を掴まれた
ようである。
〜
⬜︎月×日
グレイが20歳の誕生日を迎えた。
子供ではないが、成長は早いものである。
幼かった顔立ちも、今では見違えるほど大人びたものに
なっていた。しかし、今回の誕生日会には参加できなく
なってしまった。任務の帰りにグレイに何か買っていこ
う。白い髪には紅いルビーが映えるであろうな。
〜
△月◯日
アストルの動きがおかしい。グレイに執拗に絡んでいる
気がする。杞憂だとは思いたいが、どうも気になって
しまう。
グレイも私の恋心に漸く歩み寄ってくるようになった。
近日中に、正式に気持ちを伝えたいと思う。"
これが最後のページだった。
「…そうはさせるものか」
あれは私が見つけたものだ。
早かれ遅かれ、私のものなのだ。
私も、そろそろ行動に移す時が来たようだ_____。
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アッキー - 初めまして!スッパ夢見させて頂きました!凄く面白かったです!Twitter(X)もフォローさせて頂きました!アッキー@×OSP&T.K.familyというアカウントなので是非フォローしてくれると幸いです!無理なら構いません。 (11月25日 11時) (レス) @page27 id: 9a164c919b (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひえぇ…コメありがとうございます…!! (5月15日 0時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - 恋心の利用は辛いですよね…この小説本当に感情移入ができるのが良すぎて泣きそうです… (5月14日 23時) (レス) @page36 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひゃああ!ありがとうございます!!!😭 (5月10日 23時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - めっちゃウズウズしますね🥰最高すぎます!! (5月10日 22時) (レス) id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yu→ru | 作成日時:2023年5月4日 23時