恋情に揺らるる恋螢。

肆拾話 ページ41

「アストル、お前何を考えてるつもりだ」

「はて…何のことやら」

「グレイとスッパを利用してどうしたいんだ！」

俺は薄々気付いていた。

アストルがスッパの恋路の邪魔と共に、グレイに寄せる歪な想いについて。

それは決して恋などという儚いものではない。

支配欲…

今は、それが一番アストルの想いについて近い言葉だった。

「私はただ、厄災ガノン復活の為に動いているのだ」

「それがアイツらを割く理由になるのか？！」

「彼にも言ったが…あまり人を気にしている余裕はあるのか？私達は今にもハイラル陣営に攻め込まれそうなのに」

アストルにそうピシャリと言われ、俺はたじろいだ。

「それに、分かっているなら黙ってはいれないのか？全く、どいつもこいつも…」

「あの小娘は私の計画に必要なものだ。邪魔だけはするな」

その計画とやらが何かは知らない。

しかし、決していいものではない、ということは瞬時に察することができた。

ただ、俺にはコイツを倒す術はない。

コイツは、圧倒的過ぎる。

今のイーガ団では、到底勝ち目がない。

そう考えた俺は、ただ黙っていることしかできなかった。

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