参拾弍話 ページ33
「2年前の誕生日も、こうして夜空の元で話したでござるな」
『そうですね…なんだか昨日のことのようです。私だけが取り残されてるみたい』
「そんな事はないでござるよ。グレイ殿はちゃんと成長しているでござる」
『そうですかねぇ…うん、スッパさんが言うんならきっとそうなんでしょう』
私はそうやって笑ってみせた。
スッパさんもきっと、仮面の奥で微笑んでいるだろう。
「そういえば…20歳の誕生日の品を渡すのが遅れてしまったでござる。あの時は共にいてやれず申し訳なかった」
私が20歳の誕生日を迎えた時、スッパさんは任務でアジトにはいなかった。
スッパさんはその事を言っているのだろう。
『そんな、気にしてませんよ。覚えててくれるだけ嬉しいです』
「拙者の自尊心が許さないでござる。…改めて言わせてもらう。グレイ殿、誕生日おめでとう」
『もう、スッパさんは細かいんですから。…ふふ、ありがとうございます』
「今年はこれを受け取ってはくれぬだろうか」
スッパさんに渡されたのは手のひらサイズの小さな箱であった。
『開けてみても？』
「勿論」
私はその箱の装飾をそっと外して箱を開けた。
『わぁ…綺麗…』
箱の中身は、なんと髪飾りであった。
ルビーが小さくあちこちに散りばめられた、可愛らしいものである。
『こんな良いものを、良いんですか？』
「グレイ殿ももう成人になった。少しくらい洒落込んでも、誰も文句は言わぬでござろうよ」
『…ありがとうございます』
私はその髪飾りをぎゅっと抱きしめた。
『つけてくれますか？』
私はスッパさんに髪飾りを渡した。
「構わぬでござるよ」
スッパさんは髪飾りを受け取ると、私の髪の毛を指で梳かし、髪飾りをそっとつけた。
「よく似合ってるでござる」
『そうですか？まぁ、スッパさんが選んでくれたので当たり前ですね！』
私はその場でくるっと回ってみせた。
「…可愛らしいでござるな」
『えっ？あ、あぁ、髪飾りですか？そうですよね、可愛いです…！』
唐突にそんな事を言われ、私は髪飾りのことだろうと思って早口でそう伝えた。
「…気づいているのだろう？」
スッパさんは短く笑った。
「拙者は…グレイ殿が気づかぬフリを辞めた時に告白をする予定でござる。グレイ殿」
スッパさんは私の紅くなっているであろう頬を撫でて言った。
「そんなに紅い顔をしていれば、男が寄ってくるでござるよ」
私は途端に、その場から逃げ出した。
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アッキー - 初めまして！スッパ夢見させて頂きました！凄く面白かったです！Twitter(X)もフォローさせて頂きました！アッキー@×OSP&T.K.familyというアカウントなので是非フォローしてくれると幸いです！無理なら構いません。 (11月25日 11時) (
レス) @page27 id: 9a164c919b (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひえぇ…コメありがとうございます…！！ (5月15日 0時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - 恋心の利用は辛いですよね…この小説本当に感情移入ができるのが良すぎて泣きそうです… (5月14日 23時) (レス) @page36 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひゃああ！ありがとうございます！！！😭 (5月10日 23時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - めっちゃウズウズしますね🥰最高すぎます！！ (5月10日 22時) (レス) id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu→ru | 作成日時：2023年5月4日 23時
