弍拾肆話 ページ24
「おいスッパ、ちょっといいか」
拙者が刀の手入れをしていると、コーガ様がいつもより落ち着いた様子で話しかけてきた。
「なんでございましょう?」
「たまには"コレ"しねぇか?」
コレとは、所謂晩酌のことである。
ここ最近はしていなかったが、コーガ様が晩酌をしたがる、ということは拙者に対して何か相談事、悩み事がある時である。
「お供致すでござる」
拙者は刀の手入れを止め、コーガ様の自室に入り、和酒をお猪口に注いだ。
「なぁスッパ…お前、最近どうなんだ?」
コーガ様が一杯酒を飲むと、拙者にそう問うた。
「どう…とは?」
「グレイについでだよ、鈍感か!」
拙者は酒を飲む手を止め、気まずそうに頭を掻いた。
「…コーガ様には、隠せませぬな」
「ったりめぇだろ!なんなら、他の団員にもバレてるぞ。多分…当の本人も気づいてるだろうな」
そう。
何を隠そう、拙者は…グレイ殿に、恋情を抱いてしまったのである。
「最初は「恋などあり得ませぬ!」なんて言ってたのに、真っ先に落ちてんのはどこの誰だ〜?ん〜?」
「面目ない…」
「ははは、そう縮こまるなよ。別に俺は最初から恋したっていいって言ってんだろ。そうなるってわかってたぜ」
「左様でござるか…」
「告白はすんのか?」
コーガ様はもっと酒を飲んで話したいようで、自分で酒を注いでいる。
「まだ、予定はないでござるよ」
「はぁ〜?俺もだけど、団員もソワソワしてんだぜ!?」
「…拙者は成人で、グレイ殿はまだ未成年でござる。そもそも、未成年に恋をしてしまった拙者も如何なものかとは思う所存ではあるが…。まだ、気持ちには蓋をしようと思っているでござる」
「恋に年齢なんかあるもんか。いつ取られたっておかしくないんだぜ?グレイの純潔もいつ奪われるかわかったもんじゃねぇよ?」
「故に拙者が守っているで候。…もしかしたら、グレイ殿は…"この世界"ではなく、平和な世界に生きるやもしれぬ…拙者は、それを考えて…」
「なぁ、スッパ」
コーガ様はお猪口を置いて、拙者に向き直った。
「お前、それでもイーガ団か?」
「な…!」
「俺らはなんでも"奪って"きただろ?何、簡単なことだ。俺ぁスッパがしたいようにすりゃいいって思ってる。だけどな!」
コーガ様は机をバン、と叩き立ち上がると、拙者に指を刺した。
「惚れた女を逃すようなダッセェ真似だけはするな。お前は良い男だ。俺様が言うんだからな!」
コーガ様は鼻をふん、と鳴らした。
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アッキー - 初めまして!スッパ夢見させて頂きました!凄く面白かったです!Twitter(X)もフォローさせて頂きました!アッキー@×OSP&T.K.familyというアカウントなので是非フォローしてくれると幸いです!無理なら構いません。 (11月25日 11時) (レス) @page27 id: 9a164c919b (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひえぇ…コメありがとうございます…!! (5月15日 0時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - 恋心の利用は辛いですよね…この小説本当に感情移入ができるのが良すぎて泣きそうです… (5月14日 23時) (レス) @page36 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひゃああ!ありがとうございます!!!😭 (2023年5月10日 23時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - めっちゃウズウズしますね🥰最高すぎます!! (2023年5月10日 22時) (レス) id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yu→ru | 作成日時:2023年5月4日 23時