検索窓
今日:9 hit、昨日:24 hit、合計:8,399 hit

弍拾壱話 ページ21

『皆さん、おはようございまーす…ってあれ』

私は三角巾を付け、割烹着に身を包んで居間に出るが辺りには誰もいなかった。

いつもならコーガ様やスッパ様、他の面々がいるはずなのだが。

これは何かおかしい。

瞬時にそう察した私は付けたものを急いで取り外し、アジト内の探索を始めた。

しかし、どこを探してもあれだけの人数が見つからない。

『おかしいな…皆一体どこへ…』

その瞬間だった。

パァン!と何か火薬のような音がした。

『?!』

私は思わず目を伏せ、耳を塞いだ。

「「「お誕生日おめでとう、グレイ!」」」

『…はい?』

私は顔を上げ、目の前を見るとそこには普段の皆がそこにいた。

「いやぁ、俺様ってば天才だな!イーガ団の特性を活かしてサプライズができるとはな!」

「グレイ、気づいてなかったでござるか?今日はグレイ殿の誕生日でござるよ」

『あ…、そっか、私…』

忙しい日々に忘れていた、私の誕生日。

本当なら、あの山小屋でひっそりと迎えるはずだった、私の誕生日。

「俺様達、お前の為を思って色々探したんだぜ!」

『それ、盗んだものじゃないですよね?』

「ったりめーだろ!そう訝しむな!」

私はぷりぷりと怒るコーガ様に笑った。

『こんなに騒がしい誕生日を迎えるとは思いませんでした。たまには…というか、普通に良いものですね!嬉しいです』

「グレイ殿はいつも我々の為を思慮して行動して下さる。普段からしたいところではござるが、折角の誕生日、拙者達からの感謝を受け取ってほしいでござる」

『ありがとうございます、皆さん!』




『ふふっ』

私はたくさんの誕生日プレゼントに囲まれながら布団に座っていた。

ぬいぐるみだったり、文具だったり。

中には研究セットまであったりして、皆私の欲しいものをよく見ているなぁ、と実感させられた。

「喜んで貰えたみたいで良かったでござる」

同室のスッパ様にそう声をかけられた。

『初めてです、こんなに楽しい誕生日!…普段はお父さんが祝ってくれるんですけど、何せ貧しい家ですので…。ケーキとかはなく、普段のお料理で。誕生日プレゼントも、3年に1回あるかないかくらいでした』

「そうでござるか…。少し、話をしたいのだが…良いだろうか?」

『え?あぁ、はい!勿論です』

弍拾弍話→←弍拾話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
15人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

アッキー - 初めまして!スッパ夢見させて頂きました!凄く面白かったです!Twitter(X)もフォローさせて頂きました!アッキー@×OSP&T.K.familyというアカウントなので是非フォローしてくれると幸いです!無理なら構いません。 (11月25日 11時) (レス) @page27 id: 9a164c919b (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひえぇ…コメありがとうございます…!! (5月15日 0時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - 恋心の利用は辛いですよね…この小説本当に感情移入ができるのが良すぎて泣きそうです… (5月14日 23時) (レス) @page36 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひゃああ!ありがとうございます!!!😭 (5月10日 23時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - めっちゃウズウズしますね🥰最高すぎます!! (5月10日 22時) (レス) id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:yu→ru | 作成日時:2023年5月4日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。