弍拾壱話 ページ21
『皆さん、おはようございまーす…ってあれ』
私は三角巾を付け、割烹着に身を包んで居間に出るが辺りには誰もいなかった。
いつもならコーガ様やスッパ様、他の面々がいるはずなのだが。
これは何かおかしい。
瞬時にそう察した私は付けたものを急いで取り外し、アジト内の探索を始めた。
しかし、どこを探してもあれだけの人数が見つからない。
『おかしいな…皆一体どこへ…』
その瞬間だった。
パァン!と何か火薬のような音がした。
『?!』
私は思わず目を伏せ、耳を塞いだ。
「「「お誕生日おめでとう、グレイ!」」」
『…はい?』
私は顔を上げ、目の前を見るとそこには普段の皆がそこにいた。
「いやぁ、俺様ってば天才だな!イーガ団の特性を活かしてサプライズができるとはな!」
「グレイ、気づいてなかったでござるか?今日はグレイ殿の誕生日でござるよ」
『あ…、そっか、私…』
忙しい日々に忘れていた、私の誕生日。
本当なら、あの山小屋でひっそりと迎えるはずだった、私の誕生日。
「俺様達、お前の為を思って色々探したんだぜ!」
『それ、盗んだものじゃないですよね?』
「ったりめーだろ!そう訝しむな!」
私はぷりぷりと怒るコーガ様に笑った。
『こんなに騒がしい誕生日を迎えるとは思いませんでした。たまには…というか、普通に良いものですね!嬉しいです』
「グレイ殿はいつも我々の為を思慮して行動して下さる。普段からしたいところではござるが、折角の誕生日、拙者達からの感謝を受け取ってほしいでござる」
『ありがとうございます、皆さん!』
『ふふっ』
私はたくさんの誕生日プレゼントに囲まれながら布団に座っていた。
ぬいぐるみだったり、文具だったり。
中には研究セットまであったりして、皆私の欲しいものをよく見ているなぁ、と実感させられた。
「喜んで貰えたみたいで良かったでござる」
同室のスッパ様にそう声をかけられた。
『初めてです、こんなに楽しい誕生日!…普段はお父さんが祝ってくれるんですけど、何せ貧しい家ですので…。ケーキとかはなく、普段のお料理で。誕生日プレゼントも、3年に1回あるかないかくらいでした』
「そうでござるか…。少し、話をしたいのだが…良いだろうか?」
『え?あぁ、はい!勿論です』
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アッキー - 初めまして!スッパ夢見させて頂きました!凄く面白かったです!Twitter(X)もフォローさせて頂きました!アッキー@×OSP&T.K.familyというアカウントなので是非フォローしてくれると幸いです!無理なら構いません。 (11月25日 11時) (レス) @page27 id: 9a164c919b (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひえぇ…コメありがとうございます…!! (5月15日 0時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - 恋心の利用は辛いですよね…この小説本当に感情移入ができるのが良すぎて泣きそうです… (5月14日 23時) (レス) @page36 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
yu→ru(プロフ) - ゆず塩さん» ひゃああ!ありがとうございます!!!😭 (5月10日 23時) (レス) id: 27c5cead5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - めっちゃウズウズしますね🥰最高すぎます!! (5月10日 22時) (レス) id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yu→ru | 作成日時:2023年5月4日 23時