ＯＮＬＹ［HS］ (ページ46)

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それから2週間ほど、Aはとにかく宿舎から出ない生活を送っていた。
2週間で抜糸できるからそれまでは安静に、と言われたらしいが、彼女は時々事務所に赴くぐらいで、それ以外の場所にはどこにも行っていないようだった。

そして唯一事情を知っているだろうホソギも、Aの側を極力離れないように生活していた。

NM「A、カフェに行くけど、なんか欲しいものある？」

「んー…じゃあアイスカフェラテを…マフィンもあったら一緒に」

NM「ん、分かった」

Aは人に甘える、ことを覚えたのか、そう努力しているのか定かではないが、前よりも人に物を頼んだり、傷が傷めば痛い、とこぼしたりした。
そんな彼女の変化に、メンバーは嬉しくて仕方ない、というように嬉々としてAの我儘に応えていた。

だから、彼女が抱えていたもののことなんて、少しだけ忘れていたんだ。

Aの抜糸の日。
ホソギと朝から病院に出かけていくAを見送って、ソファで新聞を読んでいるとき。
携帯が震えた。

NM「もしもし」

PD「ナムジュナ、今から事務所に来てくれ」

NM「…？わかりました」

短くそれだけ言って切れた電話。
隣に座っていたジンヒョンに、事務所に行ってきますと伝えると、マネヒョンはAと病院だし、足がないから送ってやる、と申し出てくれた。

ジンヒョンの運転する車で事務所に着くと、ジンヒョンも事務所で待ってる、と言って車を降りた。

僕はまっすぐにPDニムのいる部屋へ向かい、扉をノックした。

PD「どうぞ」

扉を開けると座って、と椅子に促され、言われるがままに座る。

PD「Aのことだけど。この2週間、彼女と話し合いを重ねたが、彼女は脱退を望んでいる」

脱退？

突然の言葉に思考が追いつかない。
皿を落として、足を縫って、精神的に追い詰められていることがわかって、でも最近は甘えてくれてて、それで脱退？
全く繋がらなかった。