ＯＮＬＹ［HS］ (ページ36)

今日:38 hit、昨日:94 hit、合計:139,055 hit

3 ページ36

廊下を走りながら涙がこぼれた。普段泣くことなんて滅多にないのに。
厳しい言葉をかけられたことなんて初めてじゃないのに、情けない。
その言葉に動揺して、普段できていることができなくなるなんて。
目の前で応援してくれているarmyが全員敵のように思えてきて、恐怖で足がすくみそうになった。

それでもメンバーを心配させたくない。がっかりさせたくないと言う気持ちが強かった。
トイレに駆け込み、ティッシュで涙を抑えて、一つ息をついてから再びトイレを出た。
すると、向こうからテヒョンオッパが走ってきた。

TH「A平気？」

そう覗き込んでくるテヒョンオッパとは目が合わせられなかった。
大丈夫ですよ、と笑ってオッパと一緒に楽屋へ戻ると、みんな神妙な面持ちをしていて。
その表情を見ると一気に不安が襲ってきた。

がっかりさせたかもしれない。もう、いらないって言われるかもしれない。
足が震えそうになるのを隠すので精一杯で、私は何も言えなかった。

JN「Aヤ、何か悩みがあったらオッパのとこにいつでもおいでね」

「え、」

一番最初に静寂を破ったジンオッパの言葉は、今日のパフォーマンスに対する低評価でも、私を責める言葉でもなかった。
ジンオッパは私の方へ来て、ゆっくり頭をなでると、メンバーの方を向いて、今日は解散！と言った。

メンバーの表情も先ほどのような神妙な面持ちではなかった。
いつも通りに片付けをして、いつも通りに私に声をかけて、帰宅して行った。

HS「A、帰る？」

「私は…ちょっと練習室に寄ってから帰ります」

HS「そっか、じゃあ、お疲れ」

最後に残ったホソクオッパも楽屋を出て、帰って行った。
残された楽屋で、さっきまで着ていた衣装を見つめる。

「いきましょうか」

スタッフとボディガードの方に声をかけられ、重い腰を上げる。
テレビ局のドアから出ると、もう一つの私を追い込んだ原因が待っていた。