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私の部屋は赤い扉の向かい側。
うらたさんが階段を上ってすぐの左側、志麻さんがその向かい、坂田さんとセンラさんは隣合っていて、センラさんの向かいが物置。
うらたさんから教えてもらった情報を整理しながらセンラさんが作ったご飯を口に入れる。
「ぅん……? せんらぁ、甘くない? これぇ」
よっぽど眠いのかゆっくりと食べ進める坂田さんがふと顔を上げて、間延びした甘い声でセンラさんに問う。
センラさんは特に何かを思い浮かべるわけでなく、いや、と首を傾げた。
「特に甘い味付けをした訳じゃないけど……」
「てーか、坂田が眠いからそう思うだけやろ。甘くないし」
うらたさんが付け足すように言い、坂田さんが口を膨らませる。
そんな光景を視界の端に入れて、携帯を片手にご飯を頬張る。
「……そういえば、志麻さんは?」
「志麻くんは疲れたっつって部屋。自由人なとこあるからあんま気にしないでいーよ」
ふと、志麻さんが居ないことに気付いて声を上げるが、うらたさんが二階を指して、話した。
確かに、自由人のようだった。
「…………皆さん、私のこと追い求めてたとか言ってましたけど、なんでですか?」
ふとした疑問だった。
ただちょっと気になるから把握しておきたいなぁって思っただけ。
こんなに場が凍るなんて思わないじゃないか。
さっきのほのぼのした空気はどこに行ったのか、そんな問いをしたくなる。
まさに場が凍ると言った言葉通り。一瞬で南極にでも行ったのかと疑うほどの場の冷たさ。
聞いちゃいけない話だったか? そう察して取り消ししようと口を開いた瞬間だった。
「A。俺らはね、ドMなんだ」
質問の答えになってない。でも、わかってしまう。
うらたさんが言ったその言葉。
つまり、四人はドMで私のようなSっ気のある人を求めていた、ということなのだろう。
ぼんやりと脳内で整理をして、うらたさんに礼を言った。
「…………ねる、おやすみ」
坂田さんはその二言だけを述べて、部屋へと戻って行った。
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noppi(プロフ) - 続きも見たいです(*^▽^*) (2022年4月20日 22時) (レス) @page37 id: a056ba0898 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!ここで終わってしまうのが悲しいですが、わかりました(´;ω;`) (2021年4月20日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - りーゆーさん» ハロウィン折角だから書こうかな〜と!こちらこそありがとうございます! (2019年10月31日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
りーゆー - 凪桜さん» ハ、ハロウィンだ〜〜!!ありがとうございますっ!!!! (2019年10月31日 22時) (レス) id: fedfe469a7 (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - らんまさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです〜!! (2019年10月16日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
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