異名と友人 ページ35
バタバタ。
日曜の朝に似つかないようなそんな足音。
それはベッドに腰掛けていた私の元へと近付いてくる。
「A！」
ああ、やっぱり。
ノックもなしに私の部屋の扉が開く。
入ってきたのはゼェゼェと息を切らしたうらたさん。
「はぁ、なに？」
「手紙、が届いた！」
この家でなんでこんなに息を切らすんだろうと疑問に思いながら彼が言った言葉を飲み込む。
え、どういうこと？ 手紙なんて日常茶飯事なのに。
そう思いながらも差し出してくる手紙を受け取った。
そして、裏面を見て驚愕。
白い封筒に黒い文字。
達筆な字で書かれているのは"黒谷 光"の文字。
随分と久しぶりに見るけれど、忘れたことはない名前。
「それ、luzのことでしょ！？」
我慢できないと言った様子に声を荒らげたうらたさん。
差出人ことXYZのリーダー、luzからの手紙だった。
しかしまぁ、随分とやらかしたことで。
表面には私の名前とその上にはよく呼ばれている異名が記されていた。
思わずため息が出る。
――漆黒の狼。
今はもう裏方に回ったから呼ばれることも減ったけど、所謂全盛期の頃に散々呼ばれ続けた異名。
人の前に姿を現す時は黒ずくめで冷静で人をすぐに射抜くことからその名がついた。
正直、狼は好きだから気に入ってはいた。
「てゆーか、Aってあの漆黒の狼だったんだ」
ニコッ。
そんな擬音が着くような可愛らしい悪意を持たない純粋な笑顔。
ああ、これだから知られたくなかった。
じわり。心に傷が広がった。
「……？ まあいいや。XYZの異名の話聞きたいなぁ、ご飯食べながらどう？」
「え、あぁ。いいけど……」
首を傾げたうらたさんは「ね、だめ？」と可愛らしくお願いしてそのまま手を引く。
拒否権なんて無いのにね、力を抜いて体を預ける。
きっとうらたさんの事だから私が異名で呼ばれるのを嫌ってることに気づいたんだろうな。
なにも話せなくてごめんね。
前を弾んだように歩く彼に心の中で呟いた。
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noppi(プロフ) - 続きも見たいです(*^▽^*) (2022年4月20日 22時) (
レス) @page37 id: a056ba0898 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです！ここで終わってしまうのが悲しいですが、わかりました(´;ω;｀) (2021年4月20日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - りーゆーさん» ハロウィン折角だから書こうかな〜と！こちらこそありがとうございます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
りーゆー - 凪桜さん» ハ、ハロウィンだ〜〜！！ありがとうございますっ！！！！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: fedfe469a7 (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - らんまさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです〜！！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
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