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水が滴る髪をバスタオルで包んで、廊下を歩く。
真っ白な汚れ一つないスリッパのふわふわさが冷えた私の体を暖める。
「ぅ〜〜……お腹減った……」
リビングの扉を開ける、と同時に雷の大きな音が家中に響いた。
思わずドアに指を挟みかけて、大きなため息をつく。危なぁ……
「あれ、うらたさん？」
ソファーに毛布を被った誰かが。
微かに見える茶髪から、あ、うらたさんか。なんて。
「……A？」
やっぱり、なんて思ったのも束の間、うらたさんの声が涙ぐんでいる。
え、あれ、なにかした？
頭の中がぐるぐると疑問で埋まって、とりあえず近寄る。
「え、な、なにかあった、の？」
肩に触れるようにして手を伸ばせば、またそのタイミングでぴか、と光り雷が鳴る。
その音のすぐ後に「……ひっ」だなんて声を上げるから、雷が苦手なんだなぁって。
「……うらたさん、お腹空かない？」
「へ、……？ 空いた、」
合ってたなぁ、と思いながらぎゅと自分の身を守るようにしている彼の手を優しく握る。
「ぅ〜〜っ、」
「……怖い？」
隣にしゃがみこんで、そう問いかければうん、と小さな声が返って来る。
そんな姿がどこか可愛らしくて、目を合わせようとする。
「ぅ、A……っ」
ぎゅ、と私の袖が掴まれて、綺麗な翡翠の瞳に涙の膜がはられている。
うるうる、と潤んだ瞳がこちらをじっと見つめる。
「……ｯひ、こわ、い……」
怯えている彼に追い打ちをかけるかのように悪化していく雷。
服の袖をつかんだまま、うらたさんは俯いている。
でも、雷の音は一向にやまない。
毛布の上から彼の背中に手を回す。
小刻みに震えている姿に胸が痛んだ。
「や、……こわいの…………」
「はいはい。大丈夫だからね、突発的な雨だからすぐ止むって」
背中を優しく撫でて、声を掛け続ける。
大丈夫、大丈夫。そう言うように続けているとうらたさんは少し落ち着いたようだ。
「A、」
「ん、なに？」
ほんの少し涙の交じった声で、私の名前が呼ばれる。
うらたさんは首を傾げてあどけなく笑った。
「お腹空いちゃった、」
ご飯作って、と涙の乾いてない瞳で告げられたのを見て、私は小さくため息をついた。
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noppi(プロフ) - 続きも見たいです(*^▽^*) (2022年4月20日 22時) (
レス) @page37 id: a056ba0898 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです！ここで終わってしまうのが悲しいですが、わかりました(´;ω;｀) (2021年4月20日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - りーゆーさん» ハロウィン折角だから書こうかな〜と！こちらこそありがとうございます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
りーゆー - 凪桜さん» ハ、ハロウィンだ〜〜！！ありがとうございますっ！！！！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: fedfe469a7 (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - らんまさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです〜！！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
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