怖いもの ページ26
「っくしゅ、……雨に降られた……」
あれから、ひと月。
くしゃみを一つして、私は玄関の扉を雑に開け放った。
一ヶ月も経てば四人も緩くなるからちょくちょく抜け出してはXYZ内で滅多に顔を露わにしない赤髪の彼に会いに行っている。
nqrseと仲がいいからか近況もよく聞かせてくれる、良き兄のような存在だ。
面倒見が良いからか、急に降ってきた雨にも折り畳み傘を渡してくれた。
ただ、それ以上の雨の所為で途中からは傘を差さずに走って帰ってきたけれど。
元々雨が降るって予報は出ていたけど、そこまでとは思ってなかったからこんな状況になった。しかし、これほど酷いのなら雷の一つや二つ鳴るはずなんだけど……。
そう思いながら、借りた傘の水気を払い、家に入ろうと瞬間だった。
「うわ……」
ピカッと視界を支配するような鮮やかな黄色。数秒後には脳に直に響くような大きさで雷が鳴る。
ああ、やっぱりか。
なんて、少しだけため息をついて家へ入る。
折り畳み傘を傍に立てかけて、ビシャビシャに濡れたパーカー等を着替えるために洗面所でバスタオルを取り、空いたままの洗濯機にパーカーと中のシャツ、スカートと靴下を入れて、廊下を歩く。
この時間、というか私が家を出る時に志麻さんと坂田さん、センラさんはもう既に家を出ていて、靴は一足だけ。
うらたさんは偏頭痛持ちだから朝からずっと部屋に籠っている。
誰かに出くわす可能性は少ないから、この状態で歩いても大丈夫、なはず。
水が髪を伝って首筋を流れる。
「うぇ……さいあく……」
階段を上って、自室に入る。
クローゼットからさっきのと色違いのパーカーとロングスカートを履く。
窓から外を見れば、さっきよりも酷くなった雨と定期的に光る空。
雷が苦手な人に追い打ちを掛けるかのような大きな音。
「お腹すいた……」
時計を見れば、14時頃なのだが、まぁいい。
なにがあったかなぁ、と考えながらバスタオルを首にかけ直して、部屋を出た。
――緑色の扉は、微かに開いていた。
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noppi(プロフ) - 続きも見たいです(*^▽^*) (2022年4月20日 22時) (
レス) @page37 id: a056ba0898 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです！ここで終わってしまうのが悲しいですが、わかりました(´;ω;｀) (2021年4月20日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - りーゆーさん» ハロウィン折角だから書こうかな〜と！こちらこそありがとうございます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
りーゆー - 凪桜さん» ハ、ハロウィンだ〜〜！！ありがとうございますっ！！！！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: fedfe469a7 (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - らんまさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです〜！！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
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