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あれから、数試合。
親が二週した頃だろうか。夜に近付いていることに気付いたため、終わりになった。
試合は開幕から運の良かった坂田さんが最後まで一位を取り、二位と圧倒的点差をつけて優勝。
それ以下は全員似たような点数だ。
とは言っても、ビリを取らなければ何が起こる訳でも無いのだが。
「じゃ、僕の言うこと聞いてねー」
ニカッと歯を見せて笑った一位の坂田さんの視線の先は私。
そうですね、私がビリでした。
「はー、言うことって?」
前傾姿勢になって、机と体の距離が近かったから椅子に背を預ける。
腕と脚を組んで、「なに?」と聞くと坂田さんはふにゃりと微笑んで周りを見渡した。
「なー、みんな。せっかくやからさぁ、みんなも聞いてもらえば? 俺から言えばえーやん」
坂田さんがふわりと微笑む。彼の言葉に反応した三人は一斉に「聞いてもらいたい!」と大きな声を上げた。
その勢いに思わず私が肩を揺らすのにも気付かないほどだ。
坂田さんの肩をうらたさんが思いっきり揺らした。
「ねぇほんとに!?」
「待ってうらさん待って待って。揺れてる揺れてる俺が揺れてるからやめて」
早口でひたすらに返し、坂田さんは自分の肩に置かれている手の上に自分の手を重ねてゆっくりと微笑んだ。
「ほんとだよ。ねぇうらさん、だから揺らさないで?」
まだ揺らしているのか坂田さんは必死に訴えかける。
やっと落ち着いたのかふっと手を離したうらたさんはそのまま坂田さんに一歩、詰め寄った。
「じゃ、じゃあ……!!」
うらたさんは坂田さんの耳に顔を近付けてヒソヒソと話し始めた。
そりゃまあ、私に言いたいことを直には言えないよね、仕方ない。
うらたさんが終わったあとは、テンションが上がった志麻さんと顔には出ていないがニコニコとしているセンラさんと続く。
「んーと俺はぁ……」
顎に手を当てて、考える素振りを見せた後、ジュースを飲んで暇していた私の方を向いてあどけなく微笑んだ。
「えへへ、Aには俺らのお願い聞いてもらうね?」
「はいはい、どーぞ」
私が促すように告げると坂田さんは目をキラキラと輝かせる。
ニッ、と口角を上げて坂田さんは私の方へ一歩、踏み出した。
「俺は今度縛って? で、うらさんが罵声浴びさせる、まーしぃはハイヒール履いて踏んで。センラはAちゃんの自由やって」
じゃ、眠いから寝るねなんて告げた坂田さんは急にたくさんのことを言われて困惑している私を見ているのか分からないほどだった。
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noppi(プロフ) - 続きも見たいです(*^▽^*) (2022年4月20日 22時) (レス) @page37 id: a056ba0898 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!ここで終わってしまうのが悲しいですが、わかりました(´;ω;`) (2021年4月20日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - りーゆーさん» ハロウィン折角だから書こうかな〜と!こちらこそありがとうございます! (2019年10月31日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
りーゆー - 凪桜さん» ハ、ハロウィンだ〜〜!!ありがとうございますっ!!!! (2019年10月31日 22時) (レス) id: fedfe469a7 (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - らんまさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです〜!! (2019年10月16日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
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