赤い果実 ページ11
階段を上って、自室へ向かう。
赤い扉が微かに空いていて、何故だかやけに寒い。
首を傾げながらも廊下を歩いてみれば、フラッと出てくる坂田さんと出くわした。
「あ、坂田さん」
「ぇ、ぅぁ、A……」
私が声をかけると、坂田さんは大きく肩を揺らして振り向いた。
その顔が若干赤いのは気のせいだろうか。
「……あれ、眠いんじゃなかったでしたっけ」
「へ？ ……ゃ、なんもないよ」
キョトンとした表情を浮かべたかと思えば、へらりと笑う。
違和感しかないその笑顔に思わず顔を顰める。
どうやら、少々めんどくさいことに巻き込まれてしまったようだ。
「坂田さん、どうかしましたか？」
一歩、彼に歩み寄って声を優しくして問いかける。
正直、熱でもあるんじゃないかって疑うほどなのだけれど、看病した方が良いだろうし……。
ただこの様子じゃあ何か言ってくれてる様子じゃあなさそうだしなぁ。
「んーん、なんもないよ、？」
コテン、と首を傾げる坂田さん。
熱とかじゃなさそうだけども……。
強行突破とでも行こうか？
となると、さっきみたいに耳元で囁くとかが良いんだろうけど。
「Aさん、？」
不安げな声が聞こえて、そちらを見ると坂田さんはキョトンとした表情を浮かべていた。
私に一歩近寄った、そんな形だから……今ならいけるかも。
ほんの少し、足を踏み出して口元に当てられた腕を掴み、自分の方に引き寄せる。
「っえ」
「なにかあったか教えてよ」
首に手を回し、耳元で小さく囁く。
坂田さんは小さな言葉だけでびくっと肩を揺らす。
私の手に自分の手を重ね、ポツポツと坂田さんは話し出した。
「……熱はないの、何度も測ったけど、至って平熱。でも、体が火照って……」
寝ようと思ってはない、と震えた声音で告げた。
体が火照る。聞いたことはある。使っている人を見たこともある。だから、すぐに分かってしまう。
それが、すぐに治らないことも。
「……はぁ。坂田さんの部屋、綺麗？」
「…………き、たない」
「じゃあいいや。私の部屋来て」
彼の首から手を離してそのまま手を握る。
手を引いて、自分の部屋へ向かう。
バレたら、家事しなきゃいけないからね。めんどくさいったらありゃしないわ。
「ね、坂田さん。私に全部託してみてよ」
するり、解いた手を頬に滑らせて、耳元に口を近付けて甘ったるい声で囁くようにして誘った。
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noppi(プロフ) - 続きも見たいです(*^▽^*) (2022年4月20日 22時) (
レス) @page37 id: a056ba0898 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです！ここで終わってしまうのが悲しいですが、わかりました(´;ω;｀) (2021年4月20日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - りーゆーさん» ハロウィン折角だから書こうかな〜と！こちらこそありがとうございます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
りーゆー - 凪桜さん» ハ、ハロウィンだ〜〜！！ありがとうございますっ！！！！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: fedfe469a7 (このIDを非表示/違反報告)
凪桜(プロフ) - らんまさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです〜！！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
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