Episode 02 ページ3
見慣れたココア色の扉を押せば軽やかな鈴の音が耳に届く。
「ぁ、センラさん、いらっしゃいませ〜」
その音に気づいてニコッと口元に優しい笑みを浮かべるAさん。
明るい水色のエプロンと落ち着いた栗色の制服が彼女にぴったりだ。
あれから数週間。
暇さえあれば来ている程だ。
勿論、Aさんに会う、あわよくば話すためだが純粋にこのお店の食べ物が美味しい。
「今日も食べますか？」
「え、あ、うん、お願いしよっかな」
目を合わせるようにして声をかけられたから驚いて彼女から目を逸らしてそう答える。
Aさんは小さく微笑むと分かりました、と零してキッチンに戻っていく。
改めて見ればこのカフェは綺麗で柔らかい、おしとやかな雰囲気だ。
チョコレート色の机に様々な淡い色のテーブルクロス。
マシュマロみたいにふわふわした座り心地のいい椅子には豪華な装飾が施されている。
「お待たせしました。センラさん、お話してもいいですか？」
真っ白なお皿に乗ったフレンチトーストを僕の座る前に置くとAさんは店長に断ってきたのかそう告げて前に座る。
「センラさん、ウチの店のフレンチトースト好きですよね」
「……うん。美味しい、からね」
ぎこちない返しをしたからかこの場が沈黙に包まれる。
その感覚が嫌でフォークを手に取ってふわふわしているフレンチトーストを口に入れる。
甘さが口の中で残って、かかっているメープルシロップとパンが上手いこと混ざってとても美味しい。
「……センラさん、美味しそうに食べますよね」
「えっ、あ、そう……？」
「はい。見てて、こっちまで美味しく感じますよ。それに、働いている者としてはとても嬉しいです」
ふと視線をあげると柔らかくて穏やかな表情でこちらを見つめるAさんと目が合う。
美味しいですよね、と控えめに笑うからぎゅっと手を強く握って述べた。
「い、ります……？」
「よ、よろしければ……！」
フレンチトーストとフォークを彼女に渡す。
「ど、どーぞ」
「ぁ、ありがとうございます」
カップルがやるようなことを出来るなんてない。
食べかけでも、渡せたなら――。
今は、これが精一杯なんです。
「――好きすぎて、辛い……」
ソプラノの声は熱を帯びていてコタエを聞いたのなら、もう戻れないような気がして聞こえないフリをして笑みを零した。
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蘭渚(プロフ) - ただのセンラ―さん» いえいえ〜！ありがとうございます、聞いてみますね〜！ (2019年5月27日 20時) (
レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
ただのセンラ― - コメ返ありがとうございます！さかたんが歌ってるのでおススメですよ((更新楽しみにしてます (2019年5月27日 19時) (レス) id: 48d1717d9d (このIDを非表示/違反報告)
蘭渚(プロフ) - ただのセンラ―さん» コメントありがとうございます！わぁ、すごい嬉しいです！友達から聞いてタイトルだけ知ってる感じですかね〜、少し参考にしましたけどね……！本当に嬉しい言葉ありがとうございます、頑張ります！ (2019年5月27日 19時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
ただのセンラ― - 題名からして大好きです。あれですかね、「僕は君のことが好きだけど君は僕のことが別に好きじゃないみたい」とか意識しましたか？(違ったらクソ恥ずかしい)まぁ、とにかく好きです。これからも頑張ってください (2019年5月27日 19時) (レス) id: 48d1717d9d (このIDを非表示/違反報告)
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