〇 36 ページ36
あなたサイド
____後ろから抱きしめられてる。
水に浸りそうな裾より、その体勢の方が気になる。
やばい、心臓の音聞こえちゃう。
一気に体温が上がってるのがわかって、今にも赤い耳を隠したい。
としくんの綺麗な指が、私の裾を掴んで、肘までたくしあげてく。
その流れるような綺麗な動きに目を合わせるしかなくて。
近い、恥ずかしい。
そう心の奥で連呼した。
水に浸からないくらいに上げて貰ったから、早くこの体勢をどうにかしたくて、
お礼を言おうと振り向くと、
「____えっ」
としみつ「____あ」
鼻と鼻、目と目がくっつきそうな距離に、としくんの顔があった。
至近距離でぶつかった視線に、目が離せなくなる。
思わず二人共声が漏れて。
その綺麗な瞳に、
だめだ、吸い込まれそう。
そう心の中で呟いた。
「ちょっと、なに、ぼーっとしてるの
また水浸かっちゃうよ笑」
吸い込まれそうになる前に、慌てて私はそう言って、手についた水をとしくんにパッとかける。
恥ずかしさを紛らわしたかった。
としみつ「あっごめん」
「良かった浸かってない
ありがとうね笑」
としみつ「ん」
心做しかとしくんの顔が赤いのは気のせいかな。
いや、女の子慣れしてないとしくんなら、こういうことでドキドキしても仕方ないのかもしれない。
例え、このハプニングの相手が私じゃなかったとしても、ドキドキしてたんだろうな。
まーそう、1人で色々考えて悲しくなった。
____そして、2人で車に乗って浴衣屋さんに向かう。
好きな人の助手席っていうのは、何処と無く緊張するもの。
それに、好きな人の運転する横顔ほどかっこいいものはない。
としみつ「浴衣とか久しぶり」
「そうなの?」
としみつ「うん、高校生以来」
____その時は好きな人と来たのかな。
その子はどんな子だったのかな。
その時はどんな花火だったのかな。
耐えないネガティブな妄想。
としくんにゾッコンな証。
としみつ「Aさんは?」
「私は去年着たよ」
としみつ「誰と行ったの?祭り」
「んー友達かな」
としみつ「へー」
友達って言ったら、意外とモテないとか思われるのかな。
だめだ、またネガティブになってる。
としみつ「楽しみっすね」
____ネガティブだけど、楽しみ。
少し嫌な気持ちになっても、としくんがそう言って、
私に笑いかけてくれるだけで、
どうでもよくなってしまった。
573人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なな(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!泣きました。 (2018年8月17日 22時) (レス) id: 21460c7daa (このIDを非表示/違反報告)
カリン - めっちゃドキドキしました (2017年12月25日 16時) (レス) id: 85ef3d3396 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーもも(プロフ) - 初めまして!!…なんかもう、ドキドキが止まりませんでした(´;ω;`) (2017年9月19日 20時) (レス) id: b5c457861f (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 百恵さん» ありがとうございます(*^_^*)シーズン2でもお待ちしております! (2017年8月16日 17時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
百恵(プロフ) - 今までみた作品の中で1番好きです!最高でした!! (2017年8月16日 14時) (レス) id: 322469ddfa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:MONO | 作成日時:2017年5月5日 19時