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りょうサイド
トイレ(仮)から帰ってくると、なんかほのぼのした様子の2人が俺を同時に見て、
「あっ、おかえり」
「…」
邪魔すんなとでも言いたげなとしみつの無言の圧力に、笑いをこらえて、
「ただいま」
とAにだけ返事をした。
このちょっと恥ずかしそうな雰囲気が、2人の甘酸っぱい距離感を表しているような気がして、俺までドキドキしてきた。
…これで、Aもとしみつに対して好意を抱いてくれるといいんだけどな。
____「Aさん酔ってない?」
しばらく3人で会話をダラダラしながら過ごしていると、としみつが突然Aに話を振った。
頑張ってタメ口にしてるとことか、頑張って話しかけようとしてるとしみつが可愛くて、ニヤニヤしそう。
「うーん?酔ってないよ」
「いや、酔ってますよね」
「酔ってないってばー」
そう答えるも、Aは久しく来た故郷に心を許してドップリと泥酔している模様。
そんな直後にウトウトし始め、今はもう完全にノックダウン。スヤスヤと寝息をたてはじめた。
今日ばかりは日頃の疲れを癒してあげようと思った結果これ。
しょうがないけどね。Aはいつも頑張ってるから。
「どうすんの、Aさん」
Aの寝顔を見つめながら言ったとしみつ。
「俺ん家止まるらしいから、そのまま帰るつもりだけど」
俺が答えると、「はぁ!?」と大きい声を出して驚いた。
そして、Aが起きていないか確認して、慌てて口を手で塞ぐ。
「なんで、だめ?」
「いや、だめとかいう以前に男女がひとつ屋根の下泊まるか普通」
「Aと俺、本当に兄妹みたいなもんなの」
「だからって、泊めるのはどうかと思うけどな俺は」
「ちょっとなんでキレてんのか分からないんだけど笑
…あ、もしかして、嫉妬?」
俺が聞くと、としみつは「は?馬鹿やん」とあからさまに照れて俺を叩いた。
あー、嫉妬ね。
こんな短時間でそんなにAに惚れたか。可愛いとこあんじゃん。
そう思いながらニヤニヤすると、余計に怒られた。
____「じゃ、としみつも泊まる?」
イライラしだしたとしみつにそう切り出すと、「え?」ととしみつは硬直。
「何急に」
「そんなに俺とAがいるのが嫌なら泊まればいいじゃん」
俺が言ったことに眉を顰めるから、「そんな顔すんなら泊めないよ」と言えば「じゃあ…泊まる」と小さく返事が帰ってきた。
…楽しい2日間になりそうだ。
そう思った瞬間だった。
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なな(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます…!泣きました。 (2018年8月17日 22時) (レス) id: 21460c7daa (このIDを非表示/違反報告)
カリン - めっちゃドキドキしました (2017年12月25日 16時) (レス) id: 85ef3d3396 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーもも(プロフ) - 初めまして!!…なんかもう、ドキドキが止まりませんでした(´;ω;`) (2017年9月19日 20時) (レス) id: b5c457861f (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 百恵さん» ありがとうございます(*^_^*)シーズン2でもお待ちしております! (2017年8月16日 17時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
百恵(プロフ) - 今までみた作品の中で1番好きです!最高でした!! (2017年8月16日 14時) (レス) id: 322469ddfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MONO | 作成日時:2017年5月5日 19時