この恋は結ばれてはいけません【松田陣平】

27話 ページ28

付き合ってから、私達は私が夜勤じゃない日以外はほとんど夜電話をしている。


今日も一日が終わり、陣平くんと電話をしていた。


陣平「今度の日曜空いてるか？」


『日曜？空いてるよ。』


電話をしながら、カレンダーを見て何も無いことを確認する。


陣平「連れて行きたいところがある。」


『連れて行きたいところ？』


陣平「それは当日まで内緒だ。」


いっつも連れて行きたいところがあるって言う時は、当日まで教えてくれないんだよね。


今回はどこに連れて行ってくれるんだろう。


そして迎えた日曜、着いたのは古い趣のある日本らしい家だった。


えっと…ここは……？


陣平くんがインターホンを鳴らすと、1人の男の人が出てきた。


そしてその人は私の目の前に立った。


「……姉さん」


『え……、大地なの…？』


「そうだよ。」


その人はなんと、母の葬式以来会えていない弟の大地だったのだ。


確かに面影がある。私が見間違えるはずない。


『大地っ…！』


「姉さんっ…！」


私達は久しぶりの再会に抱きしめ合って喜んだ。あんな小さかった大地は私より、遥かに大きくなっていた。


『……陣平くん、ありがとう…！』


陣平「約束しただろ、会わせるって。学校の仲間と弟さん探して、ここに住んでるって分かってな。」


「それでこの前、松田さんが来たんだ。姉さんに会わないかってね。」


『そうだったんだ…本当にありがとう。』


「ここ叔母さんの家なんだ。伯父さん達はもう亡くなったんだよね…？」


『…うん。伯父さんはくも膜下出血で、伯母さんは交通事故でね。だから寮のある専門学校に通ったの。』


「そうだったんだ…、今からお父さんとお母さんのお墓参りに行こうよ。せっかく2人で会えたんだし。」


『行きたい。ずっとお墓参り行きたかったんだけど、どこのお墓か分からなくって。』


「俺が連れて行くよ。」


陣平「じゃあ俺が車出す。俺も若菜のご両親に会いたいしな。」


『陣平くん…』


そう言って彼は車を出しに行った。


「姉さん良い人と出会えたんだね。」


『うん。とっても良い人だよ。』

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