この恋は結ばれてはいけません【松田陣平】

21話 ページ22

店に着き、私達はいつも通り食事をする。


さっきの彼の言葉と、耳の赤さは気になるけど、今はこの時間を楽しもう。


『学校どう？』


陣平「鬼公に扱かれてばっかだぜ。」


『ﾊﾊｯ、鬼塚刑事って厳しいんだね。』


陣平「ずっと気になってたが、鬼公と仲良いのか？鬼公、若菜のこと名前で呼んでたしよぉ」


『いや…あ、うん。ちょっとお世話になったことあってね。』


陣平「そうか。」


『うん…』


陣平「にしても、これ美味しいな。」


そう言って彼は話題を変えてくれる。そんなさりげない優しさが嬉しい。


『そうだね。味付けがちょうどいい。』


陣平「学食も美味しけどよ、毎日食べてると飽きるんだよな。」


『私も寮の時、学食飽きちゃって、途中から自分でご飯作ってたなぁ』


専門学生だったあの頃、忙しかったけど楽しかったなぁ。夢に向かって頑張ってたあの頃は希望でいっぱいだった。


別に今に希望がないわけではい。だけど現実も受け入れなきゃいけないことがあるのも知った。


希望を持っても出来ないことだってあるのだ。


そして私達はお店を出て、月明かりに照らされる夜道を歩く。


相変わらず車道側を歩いてくれる彼にドキッとしながら、彼の隣を歩く。


『明日も学校？』


陣平「あぁ。とっとと卒業して、早く爆処行きてぇよ。」


『ずっと気になってたんだけど、松田くんはどうして警察官になろうと思ったの？』


陣平「警視総監をぶん殴りてぇからだよ。」


『ずいぶんと変わった理由なんだね。』


陣平「誤認逮捕して親父の夢をぶっ壊した警察を許せねぇんだよ。プロボクサーだった面影なんてありゃしねぇ。」


『えっ…？』


陣平「昔、松田丈太郎っていうプロボクサーが殺人容疑で誤認逮捕された事件覚えてねぇか？あれが俺の親父なんだよ。」


『さぁ…』


陣平「ガキん頃の話だから、覚えてねぇよな。」


嘘、全部覚えてる。忘れるわけない。


『……ごめん。今日はここまででいいから』


陣平「あっ…悪ぃ俺…」


『じゃあね…』




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明日若菜ちゃんの過去が明かされます……お楽しみに！

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